ラミレス監督はキャンプMVPに、野手では神里和毅、投手では今永昇太をそれぞれ選んだ。二人は奇しくも昨年故障に苦しんだ選手である。
神里はルーキーイヤーの昨年、開幕スタメンを掴み取り、リードオフマンを務めるほどの活躍を見せたが、8月12日に足の甲にデッドボールを受け骨折し、そのままシーズンを終えた。ケガが癒えた秋季キャンプから好調を維持し、沖縄キャンプの実戦でも先頭打者ホームランを含む3本を記録。長打力でもアピールしている。
今永は昨年、キャンプ中に左肩違和感で戦線離脱し、4月に復帰したものの、シーズン終わるまで本来のピッチングは影を潜め、わずか4勝に終わってしまった。しかし、オフに自ら志願して参戦したオーストラリアリーグで“無双”状態。何かを掴んでキャンプインし、そのままの好調を維持している。
主力級の2人もケガからの復帰に向け順調そうだ。昨年10月1日に右肘のクリーニング手術を受けた井納翔一と、同8月20日に右肩のクリーニング手術を受けた梶谷隆幸も、25日、2軍の練習試合ながらも実戦復帰を果たした。他にも同日、昨年のルーキーイヤーに右肩を痛め手術を行ったドラフト4位の齋藤俊介も登板し、まずまずの結果を残した。
昨年は投手陣の故障者続出で、開幕直後は苦心のローテーションが続いた。今年も昨年の新人王・東克樹をケガで欠くが、昨年ケガで泣かされた選手たちが、続々と完全復帰に向けてのカウントダウンが始まっている。
不可抗力の“ケガ”は、計算が立たなくなる一番アタマの痛い案件。無事に過ごせた上に、実戦負け無しとなったキャンプについて、ラミレス監督も「90点」と高評価。いよいよ本格的に始まるオープン戦が、ますます楽しみになってきた。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘