博士にとってこの舞台は、自身を芸人という高いステージに、唯一戻してくれる場所。2年前、急性尿閉で緊急入院して、ドクターから外出禁止を言い渡された際も、病院を抜け出して、10分の持ち時間を30分に引き伸ばして漫才をした。
そんな博士の最新刊『藝人春秋』が今、注目されている。みずからを「ルポライター芸人」と称し、見聞きしたものをレコーディングできる才覚がある博士。物書き、ひいては大好きなプロレスを報道する記者になりたいと思った時期もあったため、その筆致は相当なもの。発売から2か月で、6万6,000部を売る好実績も、納得できる。
日本初の芸能人ブロガーで、15年前から休むことなく更新している。しかし、総アクセス数が、中川翔子にたった1日で追い抜かれるトホホぶり。最近は、ツイッターをフル活用し、『藝人春秋』の販売ツールにみずから貢献。フォロワー日本一(およそ200万人)の有吉弘行に遠く及ばないものの、その影響力は強い。ちなみに、フォロワーはおよそ31万人だ。
昨年50歳になった。50の大台が見えたとき、芸人をやめようと決意した。49歳から、誰にも告げず、カウントダウンに入った。そして、感じた。ゴールが見えた芸人は、まったくおもしろくないと。
博士はもう、やめることを、やめた。(伊藤由華)