お江戸日本橋亭、いい小屋でしたな。ここまで来たら、「たいめいけん」。ずっと胡座(あぐら)かいて噺(はなし)聴いていたんだから背筋伸ばしましょうや。コレがコレド日本橋、元白木屋、例の火事以降、女の人がパンツ履くようになったっていう。
はい到着。いいんですか昇って。2階は本格本寸法、値が張ります。じゃあ帰る? ちょいとお待ちを、1階にチュウハイがあるのをご存知ないでしょ。書いてない? 書いてなくてもあるの。そして、驚くなかれボルシチが50円。それだけ食べて帰ろう? そうはいかない、なにかとプラス、ボルシチ、それなら50円。
凧(たこ)の博物館が5階にあって、お代が200円。ご興味ない? チュウチュウ凧イラナイ。ほら来たチュウハイ、待ってたライム。ハリー・ライム(「第三の男」オーソン・ウェルズ主演/デビッド・リーン監督)は嘘(うそ)吐きだよーっと。
美女が午後4時、長い髪をたばねて客席中央、一人ちゅるちゅるそば啜(すす)って、誰も怪しまない。「たいめいけん」ならではでしょう。こういう使い方もあるわけですな。ただの支那(しな)そばですよ。裏メニューだったのが、人気が出ちゃって昇格しちゃった。凧、見るの? 行くの! ゴチです。じゃあ、凧代払います。エレベーターで一緒に降りてきた大柄のコックさんね、あれが三代目の浩司さん。背は高いし、コック帽も高いし、鼻も高いし…。いやいや、旦那も背中は広いし、額は広いし、鼻の穴も広い…違う? 違うの? あたし、しくじったの?
予算3000円
東京都中央区日本橋1-12-10