そんな2019年を騒がせた煽り運転について振り返ってみたい。
・常磐道煽り運転殴打事件
最も多くの人を怒らせたのが、8月に常磐道で発生した煽り運転事件だ。試乗車を返さずに乗り回した男が、20代男性が運転する車を執拗に煽った上、前方に回り止める。
そして、同乗していた51歳の女とともに男性が乗る車に向かうと、窓を開け執拗に殴打し、逃走した。ドライブレコーダーに映った暴行の様子が公開されると、日本国民の怒りが爆発。警察の捜査の結果、大阪府在住の宮崎文夫容疑者が指名手配される。
大阪府内で発見された宮崎容疑者は警察に、「自分で出頭したい」と連呼。そして、暴行の様子をガラケーで撮影してきた喜本奈津子容疑者の名前を叫ぶという醜態振りを見せた。
その後、余罪や過去の「恫喝」も明らかになった宮崎容疑者。社会的な制裁は十分受けているが、この男を再び交通の世界に出さないようにしてもらいたい。
・煽り運転エアガン男
9月、愛知県内の東名自動車道で走行中の乗用車が、後ろを走っていたワゴン車に煽られた挙げ句、エアガンで撃たれるという事件が発生。1時間後、ワゴンは中央自動車道で燃料切れの状態で発見されるが、車内からエアガンが発見されたものの、運転者の姿はなかった。
捜査の結果、逮捕されたのは無職の佐藤竜彦容疑者(40)。地元では「札付きのワル」と有名で、前科17犯だったとの情報も。さらに、佐藤容疑者は覚せい剤も使用していたことが判明。12月10日の初公判で、検察側から懲役3年6か月を求刑された。
・静岡新聞カメラマン煽り運転
3月、沼津市内の国道で速度を出し過ぎた状態で走行し、信号待ちの車3台に追突したとして、静岡新聞カメラマン水島重慶容疑者(27)が自動車運転死傷処罰法違反容疑で5月8日に逮捕された。
さらに、警察がドライブレコーダーの解析を進めたところ、カメラマンがその直前、沼津市内を走行中、前方を走っていた54歳男性会社員が運転する自動車にクラクションを鳴らす、車間距離を激しく詰めるなどして煽り運転を行っていたことが発覚。5月21日に再逮捕されることに。結局、事故のみ起訴され、煽り運転については不起訴となった。
11月5日、静岡地裁は静岡新聞カメラマンに対し、事故について、懲役1年6か月執行猶予3年の判決を下す。そして静岡新聞は同11日付で懲戒解雇処分とした。カメラマンの人生は、大きく変わってしまったことになる。
煽り運転で人生が変わってしまった3人。その代償は、大きなものになった。
文 櫻井哲夫