この決定について、協会広報部長の二所ノ関親方(元関脇・金剛)は、力士が未成年である点、被害者から情状酌量を求める意見があった点を挙げた。管理する立場の所属部屋の師匠、部屋付きの親方への処分は、24日の理事会で当該親方の話しを聞いたうえで決められる。
犯罪行為を行なっても、相撲界的にはおとがめなしとの裁定には、一般社会との大きな隔たりを感じざるを得ない。一般社会では未成年であろうと、犯罪を起こしたら即刻、懲戒免職で間違いないだろう。懲戒解雇になろうものなら、退職金が支払われないどころか、失業保険の給付にも制限が設けられ、かなりの社会的制裁を受ける。相撲界では“未成年”であれば、犯罪起こしても自主的引退とは…。その背景に何があったのだろうか?
ベテランのスポーツジャーナリストのA氏は、「未成年かどうかというより、世間やマスコミがさして騒がなかったからでしょう。世間のバッシングが大きければ、未成年であっても間違いなく解雇処分にしているでしょう。甘い処分をしていると、悪い前例をつくることになりますので、いいことではないですね。仮定の話しですが、処分されていませんから、この少年が将来何らかの形で相撲界に戻ることもルール上は可能です」とコメント。
ちなみに幕下以下の力士には世間でいう退職金に当たる養老金はない。解雇は永久追放に相当し、何らかの形で相撲界にかかわることも許されない重い処分だ。
相撲協会から、よもやの温情裁定が下ったこの少年力士。協会の温情を肝に銘じて、無事更正してほしいものだ。
(ジャーナリスト/落合一郎)