あんは北海道産小豆を100%使用。さらに北海道産ビートグラニュー糖でほどよい甘さに仕上げている。実はこうした北海道産へのこだわりは珍しくはない。評価できるのは、あんの甘さを引き立てるため石川・能登半島にある珠洲の塩を使っていることだ。
江戸時代から、珠洲は古式ゆかしい揚浜式製塩の名産地だった。化学製法が進むにつれ衰退してしまったが、いまも海水を汲み上げて釜で煮詰める伝統的製法は守られている。天然塩は地元の誇りという。
あんぱんにおける塩の価値が分からなければ珠洲の塩は使えない。それは木村屋のあんぱんの桜の塩漬けのように、スイカに振る塩のように絶妙なアクセント。小さめのパン生地にはつぶあんがたっぷり。わさびにこだわるすし職人と同質のこだわりをみた。税込み150円。(覆面調査員・ヨン様)