全勝で稀勢の里との一番に臨んだ白鵬は、立ち合いで足元をすくわれた。呼吸があわず一度仕切り直し。これで冷静さを失ったのか、稀勢の里に当たり負け。「流れが悪かった」。形勢逆転を狙って苦し紛れの引き技に出るも、そのまま寄り切られてしまった。
取り組み後は開口一番「立ち合いが軽かった」と反省。前兆はあった。4回も仕切り直した、5番前の千代大海VS琴奨菊戦が目に焼き付けてしまっていた。「変なものを見ちゃったから」と悔いてもあとの祭りだった。
一方、4日目の立ち合いがフライングだったと批判された朝青龍は、「昨日の立ち合いを思い出してしっかりと手を付けた。攻める気持ちが勝ちにつながった」。
攻めの相撲で旭天鵬を寄り切って1敗を死守。不覚をとったライバル白鵬に「立ち合いに迷いがあったんじゃないか」と指摘するなど、ご満悦だった。
立ち合いで明暗がくっきり別れた両横綱。ある親方からは「立ち合いに魔物でも住んでるんじゃないか」との声も聞こえてきた。武蔵川理事長が今場所から厳しく打ち出した「立ち合い正常化」が土俵に大きなうねりをもたらしている。