問題視されているのは、就活生の悩みを解決しようという連載企画「就活探偵団」の一記事。「内定辞退の正しい伝え方、『直接会って、まず感謝』を」という見出しで、企業の“ソフトな囲い込み”を受けて内定辞退しづらいという学生に対し、学習院大学の「内定獲得後のマナーセミナー」でのアドバイスを紹介した。
同セミナーでは、自分を採用するという重要な経営判断に断りを入れるのだから、メールや電話ではなく直接企業に出向いてまず感謝の気持ちを述べ、それから辞退の旨を説明するようにと指導されていた。
この「企業に直接出向く」行為に違和感を持つ声が多く挙がった。
プロブロガーであり会社も経営するイケダハヤト氏は、Twitterで「ビジネスなんだから、内定辞退が発生するのは前提としてわかっている話。辞退連絡なんてメール一本で十分でしょう」「経営者の立場からいっても”人事担当者が内定辞退が決定した候補者と会う“なんて、マジ勘弁してくれって感じじゃないかな。そんなことしてる暇があるなら、次の候補者を探すべきなわけで……。生産性ゼロなどころかマイナスな時間」とコメントしている。
また「脱社畜の働き方〜会社に人生を支配されない34の思考法〜」(技術評論社)などの書籍で知られ、「脱社畜ブログ」を運営する日野瑛太郎氏も同様に「人事だって忙しいんだから、お互いに合わないのが吉」と述べ、日経新聞が伝えた「マナー」を広めることに疑問の声を持っている。
日経新聞が批判されているのは、一大学の一意見を「正しい伝え方」として掲載したことにあるのだろう。実際の人事担当者の声として、内定者囲い込みの方法や内定辞退のケースは聞いていても、肝心の「内定辞退をどのようにしてほしいか」ということについては一切触れていない。
大手新聞社でありながら偏った情報発信をしたともとれるこの記事に、ネットでも「雇ってやってる感。雇用者と労働側は対等だろ」「企業側はお祈りメール1本のくせに。創作マナーはもういいから」「日経さんの人事は落とした場合直接謝罪に来るんですか?すごいね」「ハードルをあげて内定辞退を減らそうっていう企業寄りの意見。炎上狙ってんの?」などと非難が相次ぐこととなった。
記事内引用ツイート
イケダハヤト氏の公式Twitterよりhttps://twitter.com/IHayato
日野瑛太郎氏の公式Twitterよりhttps://twitter.com/dennou_kurage