8月には中国・北京で夏季五輪が開催されるオリンピックイヤーに総合格闘技界版の五輪が開催されることになりそうだ。
旗揚げ戦を大成功で終わらせた「戦極」。早くも5月18日の有明コロシアム大会、6月8日のさいたまスーパーアリーナ大会と短いスパンでの第2弾、第3弾興行も発表され、日本総合格闘技界の中心イベントになるべく地固めが進んでいる。
戦極を主催するワールド・ビクトリー・ロードの木下直哉代表も「第2陣、第3陣と続けていける確信を得た。代々木からのスタートとなったが、さらに全国、そして世界に発信していけるイベントにしたい」と今後の定期開催を予告した。
定期的なイベント開催を宣言する一方で、戦極にはドリームプロジェクトも検討されいるという。國保尊弘広報は「あくまでも希望」としながらも「日本人も外国人もヘビー級の選手が集まっているので、トーナメントをやれれば」と明言した。
注目すべきは参戦ヘビー級選手だが、旗揚げ戦に参戦した吉田秀彦、ジョシュ・バーネット、藤田和之、ピーター・グラハムの他にも「選手的には十分な選手を集めることができる」と自信をのぞかせた國保広報。旗揚げ戦ではかつてミルコ・クロコップを破ったこともあるケビン・ランデルマンと、2005年アブダビ・コンバット無差別級を優勝している大物ホジャー・グレーシーの参戦が発表された。さらに、この日の会場には1992年バルセロナ五輪柔道銀メダリストの小川直也も来場し、今後の参戦に期待が集まる。
また、國保広報は「世界にはまだ日本で知られていない良い選手がいる」とした上で「レスリング系でも金メダリスト級から『1度出てみたい』という話がいくつも届いている。シルバーや銅(メダリスト)ならその倍以上の数」。今年8月の北京五輪後には「こぞって出てくることになると思う」と今後の戦極マットに五輪級選手の参戦を予告した。
一方、別の戦極関係者からも「今は五輪前なので名前は出せない」としながらも、国内外の五輪級選手と実際に参戦交渉を行っている事実を明かした上で「すごい選手が集まると思いますよ」という声が聞かれる。
戦極をサポートする「日本総合格闘技協会」はレスリング協会会長で国際レスリング連盟副会長の福田富昭氏が会長を務める。また、理事にはボクシング元WBA世界ライトフライ級世界王者の具志堅用高氏もおり、レスリング系とボクシング系のホットラインがある。
吉田道場のラインから柔道系とのコネクションもあるだけに、各ジャンルの五輪級選手が世界中から召集される可能性は十分。トーナメントの開催が実現すれば、まさに「総合格闘技オリンピック」ということになる。
格闘技界の中心となるべく動き出した「戦極」。早ければ北京五輪明けの今秋にもビッグプロジェクトが始動することになりそうだ。