新星・原巨人が補強ポイントに挙げていたのはリリーフ陣だった。昨年は71敗を喫したが、うち20敗はリリーフ投手についている。チーム防御率は3.79だが、リリーフ投手だけで計算してみると、4.12となる。試合の最後をしめくくるクローザーの貢献度を表すセーブポイントだが、チーム全体でも「21」と少ない。一方完投試合数は「21」と多く、他のセ・リーグ5球団にいたっては2ケタにも到達していない。
「投手の『先発・中継ぎ・クローザー』の分業化が完全に確立しているのに、先発投手の完投数が21を記録したのは、首脳陣がリリーフ陣に不安を抱えているから、先発投手に無理をさせてきた証拠みたいなもの」(スポーツ紙記者)
18−19年オフ、巨人は元マリナーズのライアン・クックを獲得。メジャーでも救援専門に投げてきたが、「日本の柔らかいマウンドに慣れていないのでは? 制球力がイマイチ」と、評価はあまり高くない。
「でも、現有戦力の中でクローザーを務められそうなのは、クック。一抹の不安があるけど」(前出・同)
一軍登録の外国人選手枠の問題もある。一軍登録できるのは4人まで。当確なのは先発ローテーションの一角・メルセデスと外野手のゲレーロだけ。5番を予定して獲得したビヤヌエバ、先発タイプのヤングマンもいて、育成選手枠からはい上がってきたアダメス、マルティネスを含めた5人が「残り2席」を争う。6月には、実績十分のマシソンも合流する。
こうした外国人選手の状況を考えれば、日本人投手の中からもクローザーを選んでおいたほうが良さそうだ。
「クローザー経験のある澤村は、原監督がダメ出しをしました。先発に再転向です。監督自らが通達したので、またクローザーに戻すとは考えにくい」(プロ野球解説者)
高卒3年目の大江、ほかにも桜井、鍬原の名前も挙がっているが、彼らはクローザー未経験者だ。
こうした状況を見ると、「何で、オフに日本人のクローザーを獲得しなかったの?」と聞きたくなってしまう。他のポジションは戦力が重複しているのに、だ。
「原監督は第一期政権で先発投手だった河原純一を抑えにコンバートしています。だれかコンバートを狙っている選手がいるのではないか」(前出・同)
その通りだとしても、オープン戦で一度もテストしないままペナントレース本番に突入することは考えられない。
やはり、外国人選手の登録枠の問題で他の助っ人が使えなくなることも承知の上で、クックで行くのか。クックが日本の柔らかいマウンドに慣れるまでは、「救援陣が炎上、逆転負け」なんてことになりそうだ。何のための大型補強だったのか…。
(スポーツライター・飯山満)