<ナゴヤドーム>
☆10度目の正直
ベイスターズ期待の2年目左腕が、10度目にして待望の初勝利を挙げた。初回にロペスのタイムリーで1点をプレゼントされるも、先発浜口遥大は立ち上がりからランナーを許す苦しいピッチングで、2回には昨年新人王を争った京田に逆転打を浴びてしまう。その後も毎回ランナーを背負うも粘り強く投げ抜き、6回を100球ジャスト、被安打7、3フォアボールでお役御免。その後リリーフ陣の踏ん張りで、嬉しい今季初白星を手に入れた。
☆二年目のジンクス
ラミレス監督も語っていた「難しい2年目」。いきなり10勝を挙げたルーキーイヤーを超えるべく、自主トレでは高速スライダーや、解禁された2段モーションを試すなど、準備は怠っていなかった。しかし、キャンプ中に発症した左肩違和感から歯車が狂い始め、戦列復帰は5月12日までずれ込んだ。及第点のピッチングはするものの、勝ち星からは見放され続けた。7月1日のカープ戦では、連続押し出しの記録を残してしまいファーム行きを命じられると、7月9日には専属キャッチャーの高城俊人がオリックスにトレードのニュースも飛び込んでくる。2年目のジンクスとは言えぬ、予期せぬ事が立て続けに起こった。
☆指揮官、そして周囲の期待
指揮官から「後半戦のキーマン」と指名された浜口。ワインドアップを取り入れ、高速スライダーも有効利用し、プロ初勝利を挙げたナゴヤドームで、やっと今季初白星をゲットした。思えば、今季キャップのデザイン変更された際のモデルも浜口。横浜駅には特大ポスターがお目見えした。スローガンの"VICTRY is within US"も、浜口の日本シリーズのあわやノーヒットノーランの好投からインスピレーションされたものだった。
石田、今永、井納が序盤に崩れ、嫌な形での3連敗。チーム今季最大借金7の状況での連敗ストッパーとなった浜口。東も左指の負傷の為一旦抹消され、先発陣は苦しい状態。日本シリーズでチームに息を吹き返させた爆発力を持った左腕が、苦しい夏場にやっと"開幕"した。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘