2011年ロッテからドラフト2位の高評価を得て、近畿大学からプロへの道に進んだ中後悠平。150キロを越えるストレートと、切れ味鋭いスライダーを投げ込む変則左腕。奪三振率も高いが、フォアボールも多い荒れ球ピッチャーで、ルーキー2勝をあげるも、それ以降は目立った活躍はできず、2015年ロッテから戦略外通告を受けてしまう。
☆不思議な巡り合わせ
NPBでの現役続行を目指す中後だったが、トライアウトでもお呼びが掛からず、BCリーグへの入団を決意。しかし、この模様を密着取材していたテレビ番組「プロ野球戦力外通告」(TBS系)を見ていたメジャースカウトが興味を持ち、なんとアリゾナ・ダイヤモンドバックスへのスプリングトレーニングを経て、マイナー契約を結ぶという異例の展開。2016年〜17年はマイナーながら好投を続け、あと一歩でメジャー昇格まで行きながらも結局は夢叶わず、2018年6月に自由契約となってしまった。
☆ベイスターズ入団
そこで手を上げたのがベイスターズ。ここまで混戦セ・リーグを、強力リリーフ陣の踏ん張りで勝ち星を拾って来た。左腕は砂田毅樹とエドウィン・エスコバーの二枚で回しているが、登板数はいずれも30試合を越えてきた。エスコバーは外国人枠の問題も付きまとい、ファームにも田中健二朗しか名前は出て来ない。先発左腕はいるが、中継ぎ候補がいないのが現実だ。高田GMはこのポジションにはまって欲しいとの期待から獲得した。アメリカではいわゆる「揺れるボール」を会得したという。ラミレス監督も「球数を減らす為に有効なボール」と話しており、他のピッチャーの参考にもなりそうだ。また、右の三上朋也、左の中後の「左右千手観音投法リレー」は是非見てみたい。
9日のイースタンで日本球界復帰後初登板を果たし、1イニング無失点と無難な投球を見せた。近々一軍合流の話もあり、後半戦の始めから戦力になる可能性は十分ある。
双子の兄がベイスターズファンで、妻は神奈川出身。これまた不思議な縁が重なった。野球の本場アメリカでベースボールを経験し、テスト入団した苦労人。28歳の「逆輸入左腕」が苦しい台所事情の救世主となってくれることを期待したい。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘