第一声、松井繁が「久しぶりにSGで悪い感じはしなかった」と言った。続けてエンジンの2連対率を確かめて「31%…それなら数字以上やね」と。
エンジン運に恵まれない今年のSG戦線だったが、出せない自分に対して松井本人は、プロペラの不調を感じていた。それにも「最悪は脱した」の言葉が加わる。だからこその第一声だ。
「今節はバタバタしないで済みそうやな。ここは1号艇やし、取りこぼしは許されへん。全力で勝ちに行きますよ」
エンジンに首を傾げた笹川賞やグラチャンでも、ドリーム戦の1号艇はモノにしている。松井の戦略は明確だ。ここを勝って得点増しの12点を得た上に、シリーズは組み立てられる。まして今回はエンジンに不満はない。逃げ切る公算が極めて高いか。
「お久しぶりです」
この一言から話し始めたのが井口佳。スタート事故にたたられている今年は、グラチャン・オーシャンの戦いを指をくわえて見ているしかなかった。
「まだプロペラとエンジンのマッチングが悪くて、回り足りない感じでしたけどね。行きアシにコーナーも重い気はしましたが、今節はスタート行かないと! 優勝する気で来ています」
現在の獲得賞金は2447万円で53位も、狙い通りにことが運べば、一気に賞金王出場の額を満たす。この段階で計算するのは勇み足かも知れないが、自分を乗せる1番の方策は「勝利」の味だ。井口の気合、スタート力が、松井にとっては最も脅威となってくる。