実に長い道のりだった。昨年6月10日(同11日)に手術を受けた松坂は、6月9日(同10日)のナショナルズ戦で、1年1カ月ぶりにメジャーで復帰登板。5試合に投げたが、白星を挙げることはできぬまま、右僧帽筋を痛めて、7月3日(同4日)に故障者リスト(DL)入り。マイナーでの調整を経て、ようやく復活を果たした。
ところが、翌28日(同29日)には、松坂が獲得球団を募るウエーバー公示されたことが分かった。日本では放出を前提にする印象が強いウエーバー公示だが、メジャーでは必ずしも移籍を意味するものではない。選手の他球団の評価や市場調査を測る意味合いもある。
獲得希望球団があっても、条件が合わなかったり、トレード拒否権を持つ松坂がこの権利を行使すれば、交渉はまとまらない。レッドソックスは25日(同26日)にウエーバー手続きを経て、主力4選手をドジャースに放出しており、来季に向けた戦力の見直しを図っている。
松坂とレッドソックスとの契約は今季が最終年。松坂は06年12月に、6年総額5200万ドル(約61億円)で契約。今季年俸は1000万ドル(現在のレートで約7億8600万円)とされる。故障があったとはいえ、昨季3勝、今季まだ1勝で、09年以降は4年連続1ケタ勝利にとどまっている。今の松坂が年俸に見合う働きをしていないのは明らかだ。
そこで、ウエーバー公示の話に戻るが、獲得球団が現れれば、交渉がまとまらなくても、他球団の松坂に対する評価も分かる。レッドソックスとしては松坂が残留するなら、市場価値を把握した上で、来季年俸を決めることになるだろう。
某メジャーリーグ関係者によると、「今の松坂なら年俸200万ドル(約1億5700万円)〜300万(約2億3500万円)ドル程度じゃないか」との説もある。移籍するにせよ、残留するにせよ、ここ数年の松坂の成績では、現在の高額年俸を維持するは不可能で、大幅減俸は必至の様相。少しでも、自身の価値を上げるためには、残された登板機会でいい結果を残す以外にない。
(落合一郎)