本拠地でのオリオールズ戦に先発登板した16日(同)、松坂はテリー・フランコーナ監督の逆鱗に触れた。5回途中で5失点7四球。この惨状もそうだが、同監督は投手交代を告げた後、GMなど球団首脳陣にも憤りをぶつけている。「松坂を事情聴取する。その結果如何では…」−−。レ軍内で風邪が流行っており、この日の松坂も頭痛と喉痛を抱えての登板だった。しかし、同監督の眼には「不振はそれだけが理由ではない」と映ったのだろう。メジャーの前例からして、指揮官が「事情聴取ウンヌン」を口にするのは、当該選手の“手抜き”を疑ったときである。
結果、事情聴取は行われなかったが、代わりに右肘の異常が発覚したのである。
松坂に同情の声が集まったのは、一方的な疑惑を向けられたからではない。新任のカート・ヤング投手コーチのやり方に、レ軍投手陣が不満を感じているという。
「ヤングコーチは主力投手陣の調整方法や投球内容に苦言を呈しています。レ軍には実績のある投手が多いので、プライドも高い。否定的な言い方をされれば、面白くないでしょう。松坂が今こなしている調整法はヤングコーチの指導によるもの。遠投やブルペン投球を大量にこなす松坂独特の調整への是非はともかく、今回の故障にはヤングコーチにも責任がある」(米国人メディアの1人)
同コーチは、日本球界ふうに言い換えれば「再生屋」。前年まではアスレチックスの投手コーチを務め、チーム防御率を30球団トップに押し上げた。松坂も同コーチから苦言を呈された1人だが、「延長戦で投げる投手がいなくなり、緊急リリーフを強いられている。ローテーションも変則になり…」と、チームメイトは同情している。
現地日本人メディアの1人もこう続ける。
「岡島も開幕枠に残れず、途中昇格となりました。今、その岡島を欲しいと、水面下でトレードを働きかけている球団もあるようです」(現地特派員の1人)
ヤングコーチ就任後、岡島も敗戦処理的な登板も多くなった。
昨年オフ、いったんはレ軍との契約が切れている。しかし、出来高払い等の条件面でレ軍を上回る球団はなく、それで残留を選択したとされるが、今は「少々の減額があっても、働き場所を」の心境に傾倒しつつあるという。
松坂は首脳陣からの信頼を取り戻していない。フランコーナ監督は前回の不甲斐ない登板が怪我によるものと理解したが、「調整にはノースローの期間と同じだけ掛かる」と話しており、松坂への厳しい見方を変えていない。また同時に、松坂のトレード説(放出)も絶えないのも事実だ。
「今季は6年契約の5年目、松坂は復活を目指してオフもかなりハードなトレーニングを積んできました。ただ、チーム内での居心地の悪さ、調整法を巡る行き違いは埋まっておりません。松坂自身が『レ軍を出て、環境を変えたい』とこぼしているという情報すら飛び交っています」(前出・同)
松坂は信頼する個人トレーナーがいた。入団時、「個人トレーナーと通訳の給金は球団負担」なる契約事項を勝ち取ったものの、レ軍は松坂の不振の責任を負わせ、事実上の解雇に追い込んでいる。
今回の右肘の故障は、一体誰に責任があるのか…。調整の失敗だとすれば、変則日程や緊急リリーフ登板を強要したのは、フランコーナ監督とヤングコーチだ。松坂自らが「環境を変えたい」ともらしているとの情報は、信憑性が高い。
※レッドソックス首脳陣、外国人選手は方仮名表記は『共同通信社配信ニュース』を参考に致しました。