星野氏の盟友であり、阪神OB会長の田淵幸一氏が先の巨人対阪神戦のラジオ解説でいち早く金本の連続試合フルイニング出場の危機を指摘。「試合の勝負所で金本をどうするのか。二塁に走者がいてレフトへヒットの打球が飛べば、確実に点を取られてしまう。真弓監督は変えられるのか。決断を迫られる」。こう核心を突いた通り、真弓監督は最大の決断を迫られていた。
が、「優柔不断、全方位外交の真弓では決断できないだろう。下手をすると金本の連続試合フルイニング出場問題が真弓政権の命取りになりかねない」。阪神関係者の間でこうささやかれていた。しかし、巨人戦直後の横浜戦での金本の決断で真弓監督は救われたのだ。
一方、「金本に引導を渡すのは、星野シニアディレクターしかいないだろう。阪神入りして、主役の座を守ってきたのも、星野さんが監督時代に三顧の礼を持って取ってくれたから。恩義有る星野さんの言うことならば、金本は素直に聞くだろう」と言われていた出番待ちの格好だった星野氏は、完全に肩すかしをくった。
今季も2年連続のBクラスに終われば、解任必至と見られている真弓監督の後任候補として最有力視されているのが、星野氏の監督復帰だ。金本の連続試合フルイニング出場問題で真弓監督がつまずき、星野氏が救いの神として登場すれば、監督復帰の決定打になる可能性まであった。そう考えると、田淵OB会長のラジオ解説での核心指摘発言も、星野氏とのタッグマッチだったのかとも勘ぐれる。
ところが、金本本人の苦渋の決断で、真弓監督は4月危機をとりあえずは乗り切った。金本の代役・狩野がヒーローになるなど、追い風すら感じられるようになった。
真弓政権の危機はひとまず先送りされたが、根本的に解決したわけではない。今度は連続試合出場を続けさせるために、金本を代打で起用していく必要がある。が、プライドを考えれば、どうでもいい場面で使うわけにはいかない。かといって、降雨コールドゲームといった予期せぬ展開も頭に入れる必要がある。勝負時を待っていたら、試合が成立したものの、突然途中でコールドゲーム。金本を使い損ねたといったハプニングが起きる危険性は常について回る。
連続試合出場記録まで途切れたら、再び大騒動が起きるだろう。金本が大ケガや病気になってリタイアしない限り、責任問題が生じる真弓監督は否応もなく、常に神経をとがらせるしかない。一方の星野氏は今度こそはと出番を虎視眈々と狙うだろう。金本を巡る真弓vs星野の場外戦は、第2ラウンドに突入している。