「三谷先生と付き合いのない日本テレビとテレビ朝日、TBS等は、高みの見物を決め込んでいます。一番困っているのが先生ともジャニーズとも関係が深いNHKとフジテレビ。どちらに与するかで今後の仕事に影響を及ぼすのは必至の状況なんです。『まさかこんなことになろうとは…』とテレビ関係者はみな頭を抱えています」(業界事情通)
いまやヒットメーカーとして引く手あまたの脚本家の三谷氏と天下のジャニーズ事務所が何を揉めているのか。
発端と指摘されているのが、2016年に放映されるNHK大河ドラマ『真田丸』の主演キャストだ。『真田丸』は戦国時代に活躍した武将・真田信繁(幸村)を主人公に波瀾万丈の生涯がオリジナル物語として展開される。
ちなみに、「真田丸」とは大坂の陣(冬の陣)で豊臣方についた幸村が大坂城の平野口に築いたとされる砦で、徳川家康率いる東軍を大いに苦しめた。
6月18日発表された主役の幸村には堺雅人(40)が決まった。堺といえば昨年、大ヒットしたドラマ『半沢直樹』(TBS)で大ブレイクし、いまや押しも押されもせぬ超売れっ子俳優だ。
堺は大河の主演に「三谷幸喜さんの脚本を楽しみにしています」とすでに再来年に向け意欲満々。
「堺が出演するドラマは間違いなく当たる。『半沢直樹』の後に放映されたドラマ『リーガルハイ2』(フジテレビ)もヒットした。キリンビールも、堺が出演中のCMのお蔭で売り上げが伸びている。ソフトバンクもCM起用したように、業界では堺の争奪戦が続いているんです」(大手広告代理店幹部)
確かに、主演が堺と聞けば視聴者の誰もが納得する話なのだ。ところが、ジャニーズはこの主役のポジションを密かに狙い、NHKや三谷サイドにロビー活動を続けていたという。
「ジャニーズがイチ推しだったのはタッキーこと滝沢秀明だった。東山紀之とセットで売り込んでいたそうです。他にも、『嵐』の二宮和也、『SMAP』の木村拓哉、香取慎吾の名前が挙がっていました」(NHKドラマ関係者)
しかし、スッタモンダの末、NHKサイドが最終ジャッジを下したのが堺だったのだ。
「実は、堺をこの上なく猛烈にプッシュしていたのが脚本を手掛ける三谷氏だったのです。NHKサイドには『堺でないと、この大河は完結しない』とまで言い切ったそうです。見栄も外聞もかなぐり捨てた主役争奪戦で敗北したジャニーズはメンツを潰された形になってしまった」(芸能プロダクション関係者)
以前ならNHK大河の主演話など歯牙にもかけなかったジャニーズ勢。一転、翻意した背景には切実な事情があったからだという。
「『嵐』のニノ(二宮)はドラマ『弱くても勝てます』(日本テレビ)が大コケ。シングル視聴率のオンパレードで平均視聴率も9.77%。タッキーもコンサート以外はあまりパットしない。今年1月に主演した『鼠、江戸を疾る』(NHK)も『HAMU-公安警察の男-』(フジテレビ)も惨敗している。キムタクに至っては昨年出演したドラマ『安堂ロイド』(TBS)が視聴率的にパットせず、今年放映された特番ドラマ『宮本武蔵』(テレビ朝日)も惨敗を喫している。夏ドラマとして放映される『HERO2』(フジテレビ)は収録中ですが、もしこれがコケるとキムタク神話は完全崩壊するばかりか、ジャニーズの屋台骨を直撃する恐れが出てきていますからね」(テレビ関係者)
香取に至っては俳優廃業の危機に瀕しているというから堪らない。ドラマはどれも当たらず、6月末で終了した『スモーキングガン』(フジテレビ)は全11回の平均視聴率がたったの7.29%だった。
「香取が『SMAP』のメンバーでなかったら、とっくに途中で打ち切りですよ。ジャニーズがNHK大河にこだわった理由は当代きっての人気脚本家である三谷氏のご威光を借りたかったからなんです。高視聴率ドラマに出演したという実績作りもさることながら、いまのジャニタレらの人気低迷を盛り返そうと躍起になっていたからです」(ドラマ制作関係者)
ところが、大方の予想に反し三谷氏はジャニタレの主演起用について首を縦に振らなかった。
「一つは三谷先生が各脚本は“当て書き”といって役者を想定してから書き始めるんです。今回は、端っからジャニタレの誰も『イメージにピッタリこなかった』と言うんです。真田幸村は堺の起用で決めていたのです」(消息筋)