「ショックといえばショック。いいところに投げたのに、打たれてしまって悔しい」。バルデスはショックを隠せなかったが、それ以上にダメージを受けたのは、落合監督だろう。というのも、前日の22日のスポーツ紙上で、OBの元エース・今中慎二氏に対し、バルデスを絶賛したばかりだったからだ。
「(先発陣の現状はという今中氏の質問に)吉見、チェン、バルデス。そこまででしょ。バルデスはそれだけの力はあると思う。あれは使わない手はない」と、ローテーションの三番手にあげたのだ。右のエース・吉見、左のエース・チェンに次ぐナンバー3扱いは破格だろう。
その秘密兵器のはずのバルデスが、舌の根が乾かないうちに炎上したのだから、落合監督の面目は丸つぶれだ。今中氏の方があわてて? 評論で「今、ボロが出たと思えば、修正する時間は十分にある」とフォローする有様。
実は、落合監督はもう1人の新外国人選手のセサルもインタビューの中で絶賛。「(打順は)2番だな。センターにするかライトにするかは、これからだ」と、外野のレギュラー当確を公言している。2年越しで「二塁・井端、遊撃・荒木」というゴールデングラブ賞コンビの仰天コンバートを敢行するなど、4年ぶりのリーグ優勝へ厳しさを全面に打ち出しているのに、なぜバルデス、セサルの2人に対し、早々とお墨付きを出したのか。
昨年、7億円の4番・ウッズを解雇して、年俸3000万円弱のブランコをマンツーマン指導で新4番に育て上げ、「さすが落合」と言われたのに続き、二匹目、三匹目のドジョウを狙ったとしか思えない。新外国人コンビも、ブランコ同様にドミニカルートで、バルデスが年俸1300万円、セサルも2000万円と格安だ。落合監督が新設したドミニカルートで、4番・ブランコに加え、2番・セサル、ローテーションの3番手にバルデスの掘り出し物トリオとなれば、この不況下だけに落合株は高騰する。
が、バルデスがこのままの惨状だと、逆に落合監督の眼力に疑問符が付けられても仕方ないだろう。開幕までにバルデスがどう変わるのか、セサルは本当に外野の一角を占めることができるのか。落合監督の命運を新外国人選手コンビが握っているとも言える。