「村田の解雇が発表される2、3日前、岡本(和真=21)を三塁に戻すことが決まりました。岡本は将来の主砲として期待されていますが、守備難。首脳陣からすればスタメンで使うのは怖い。打撃面を伸ばすため、外野転向を決めたんですが、あえて三塁に戻すということは、高橋監督は村田を切る鹿取GMの意向を知らされていたのでしょう」(ベテラン記者)
13年オフにFAで巨人入りした34歳の片岡治大もこうした“粛清”を察し、自ら現役引退を表明した。「クビ」を通達される屈辱に耐えられなかったのだろう。
村田の今後だが、すでに他球団は興味を示しつつある。
「クビ(=自由契約)になれば、どの球団も獲得しやすくなります。村田はFA権を持っており、これを行使して移籍先を探すとなれば、高額年俸(2億2000万円推定)がネックとなる。獲得した側の球団にしても、巨人に見返り(金銭補償など)を出さなければならないし、村田本人のためには良かったのでは」(プロ野球解説者)
「クビ」の宣告は残酷だが、これから先も現役を続けたいとする村田への配慮も隠されているというわけか…。しかし、巨人は村田を切った“返り血”も浴びることになりそうだ。
世代交代を掲げた鹿取GMだが、今オフのFA市場を見送るとは言っていない。FAで巨人入りし、それなりの結果を残した村田がクビになった。それを見れば、FA権を行使する他球団選手は「巨人には行きたくない」と思うはず。先にプロ野球解説者が指摘した「移籍先を探しやすくするための配慮」が本当だとしても、二の足を踏むだろう。
FA権の行使が予想される選手のなかには、好投手も多い。日本ハム・増井浩俊、西武・牧田和久、海外移籍の可能性も高いが、涌井秀章(ロッテ)もいる。バッターでは中田翔(日本ハム)が身の振り方を決めかねている。
前出のプロ野球解説者がこう続ける。
「ドラフト会議でどう出るか、周囲が予想するように清宮幸太郎の1位指名が本当なら、巨人は即戦力系の社会人・大学生投手の指名を諦めることになります。2位以下でも好投手は獲れると思うが、12球団の指名が一巡すれば、即戦力投手の質はワンランク落ちます」
村田が古巣ベイスターズに在籍していたころ、『松坂世代』なる言葉で彼らの活躍を伝えていた。今オフ、DeNA・久保康友、広島・江草仁貴、西武・上本達之、西武・木村昇吾・西武・渡辺直人らも戦力外となり、楽天・久保裕也も「支配下契約はできない」と通達されている。主役・松坂大輔は今季、1試合も投げていない。こちらはソフトバンクの温情で契約は延長されそうだが、村田の自由契約は一つの時代の終焉とも言えそうだ。
「村田は3000万円クラスの年俸提示でも現役にこだわるはず。体力的な衰えではなく、巨人のポジション重複を無視した大型補強の犠牲となって試合に出られなかっただけなので、本人は『まだやれる』と思っているはず。外国人選手を新たに獲得するより、村田を獲ったほうがいいと判断する球団は多いと思います」(前出・プロ野球解説者)
村田が同一リーグのユニフォームを着たとき、高橋監督はリベンジを食らうことにもなりそうだ。