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優勝でトラブル浮上 ソフトと広島は美酒に酔えない?

 福岡ソフトバンクホークスが2年ぶりの優勝を決めた(9月16日)。56年ぶりのセパ同時優勝とはいかなかったが、広島のマジックナンバーは「1」(同時点)。胴上げは時間の問題である。そんな両優勝チームが新たな難題に直面していた。
「ホークスは優勝を決めても、翌日はベストメンバーで臨みました。柳田は一塁まで全力疾走でしたし、他選手も全く手を抜きません」(スポーツ紙記者)
 17日の試合開始は、午後1時。前夜は『ビールかけ』や祝勝会で盛り上がっていたはずだが、普段通り、試合に臨んだ。一般論として、何人かの主力選手を外し、若手に出場機会を与えることもできた。ホークスが手抜きをしなかった理由が“厄介”なのだ。

「クライマックスシリーズ(以下=CS)ですよ。優勝した翌日くらいは休ませてやりたいところですが、選手は実戦感覚がなくなるのを恐れ、ビールかけも自重していました。ビールをかけても、飲まないようにして」(前出・同)
 ホークスはCSに苦手意識も持っている。同制度が始まったのは2004年。ペナントレースの優勝チームはダイエーホークスだったが、日本シリーズ進出を果たしたのは、2位・西武。翌05年もソフトバンクホークスがペナント覇者となったが、千葉ロッテに敗れ、10年も3位だった千葉ロッテの下克上に見舞われた。下克上はCSの醍醐味でもあるが、この苦い経験が「ペナントレースの優勝がゴールではない」と、ホークスナインに思わせている。首脳陣、球団スタッフもそう捉えているそうだ。
「工藤(公康=54)監督は警戒心を強めています。投打ともに12球団最強の戦力を与えられており、昨季は『この戦力で負けたのか?』との酷評も受けました。CSで2位以下のチームにひっくり返されるようなことになれば、一大事です」(球界関係者)

 全日程が終了するまで“手抜きナシ”は、ファンも歓迎だろう。しかし、こんな見方もある。
「シーズン最多セーブ記録を更新中のサフエテは、明らかに登板過多。現在の51セーブの記録にばかり目が行ってしまうが(同時点)、彼は3年連続セーブ王で、ホークスに移籍してきた14年以降、毎年60試合以上に登板しています。今年もすでに63試合に登板している。優勝しても休めないとなれば、万全でCS、日本シリーズに臨めないかも」(プロ野球解説者)
 今季、正捕手の座を掴んだ甲斐拓也(24)も、1年を通じて一軍登録されたのは初めてとなる。救援陣の岩嵜、モイネロ、森、嘉弥真らも疲れていないといえば嘘になるだろう。

 広島についても、CSに関する問題を抱えていた。
 マツダスタジアムで開催されるCS・ファイナルステージのチケットの販売方法が“変則”となる。9月12日、広島は球団HPで「抽選販売をさせていただく予定です」と発表した。広島人気は全国区となった。混乱が予想されており、同時に、一部の心ないファンによる買い占めも指摘されている。
「対戦チームの主催ゲームでも、広島戦のチケットは完売です。広島ファンはカープ側の席が取れず、対戦チーム側のチケットを買っています。でも、席には座らず、広島側に移動して立ち見をしているとの“苦情”も出ています」(前出・球界関係者)
 CS・ファイナルステージは本拠地・マツダスタジアムで行われる。対戦チームのファンがチケットを購入できる可能性は極めて低い。しかし、「両チームのファンに平等に購入のチャンスを」の声は正論であり、“球場におけるエチケット違反”に関する苦情も、他球団から寄せられている。広島球団が異例の抽選販売を決めたのはその影響だが、今も詳細は「後日改めて発表」のままなのは、改善策が見つからないからだろう。
 これでは、広島も勝利の美酒には酔えない。

 ちなみに、ビールかけにはそれ相応のおカネが掛かる。30分以上やるとなれば、2000本以上を用意しなければならない。「20本1ケース」で6000円以上だから、単純計算で60万円強。本拠地球場であれば会場の確保も簡単だが、遠征中の優勝となれば、ホテルや同駐車場などを借りる「会場代」が掛かり、ここに「ビールをこぼす条件」として、特設シートを敷くための代金や人件費も掛かる。また、終了後にベタつくこともあるので、清掃代も請求されるそうだ。数年前、某在京球団が遠征先でビールかけを行った際、「150万円以上が一瞬で“泡”になった。本拠地での優勝なら3分の2以下で済んだのに」と愚痴っていたが…。
 地元優勝を強く願っていたのは、広島のファンだけではないようだ。

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