同日のDeNA戦に「3-2」で勝利し、同日終了時点で「11勝4敗・勝率.733」と首位を快走中の阪神。今回の番組で上原氏は、阪神の好調は「当たり前のことを当たり前に(こなす)」と基本的なプレーをミスなくできている点にあるとした上で、同戦でも堅実なプレーで試合の流れを引き寄せる場面が見受けられたと語った。
上原氏が着目したのは、「2-0」と阪神2点リードで迎えた4回表の攻撃。この回の阪神は先頭・佐藤輝明が二塁打で出塁すると、続く梅野隆太郎が送りバントを決め1死三塁のチャンスを演出。ここで打席に入った中野拓夢がタイムリー左安打を放ち追加点を奪った。
この場面について上原氏は、「送りバントってやっぱり難しいんですよね。それを簡単に決めたっていうところが素晴らしい」とコメント。一般的にバントは一塁走者を送るより二塁走者を送る方が難易度は高いとされているが、梅野がミスなくしっかりと決めたことがその後の中野のタイムリーにもつながったと称賛した。
上原氏は続けて、2回表と4回表にそれぞれ送りバントを決めた先発・ガンケルも評価。「2回とも2ストライクからやってる(成功させている)んですね。得点にはつながらなかったですけども、(相手)投手にすごいプレッシャーを与えられるという意味ではこの送りバントは大きかったと思う」と、追い込まれた後からでも決め切ったのは相手投手を揺さぶる意味でも良かったと指摘した。
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上原氏がここまで語った後、番組では阪神が今春キャンプで、現役時代に巨人(1983-2003)、中日(2004-2006)で活躍した川相昌弘氏を臨時コーチとして招へいしたことを紹介。現在56歳の川相氏は通算533犠打(プロ野球記録)、ゴールデングラブ賞6回(1989-1991,1993-1994,1996)といった実績を持つ人物だが、上原氏は「バントがやっぱり大きいですよね」と、川相氏からバント技術を学んだことが今に活きているのではないかと推測していた。
今回の放送を受け、ネット上には「去年も良かったけど、今年はそれ以上にバントに安定感がある」、「選手たちがミス無くバントを決めてくれるから、首脳陣としても作戦が立てやすい部分はあるだろうな」、「川相さんにバントだけじゃなく守備を鍛えてもらったのもプラスに働いてそう」といった反応が多数寄せられている。
「上原氏がバントの安定感を評価した阪神ですが、昨季もバント成功率は『.811』でリーグトップ。ただ、今季は川相氏の指導も奏功してか、ここまでは『.867』と昨季を上回る成功率です。また、今春キャンプでの川相氏は昨季リーグワーストの85失策(1試合平均約0.71個)を記録した守備面も精力的に指導したと伝えられていますが、こちらも今季は10失策(同0.67個)と改善の兆しが出てきています。このようにプレーの成功確率が上がっていることが、現在の勝敗に表れているという見方もできるのではないでしょうか」(野球ライター)
2005年以来のリーグ優勝に向け好スタートを切った阪神。地に足をつけたプレーをどこまで継続できるかも今後の戦いぶりを左右するのかもしれない。
文 / 柴田雅人