決戦まで5日をきって武藤と中邑は実に対照的だった。
9・21神戸大会で真壁刀義との大流血戦を制し、V2を達成した現王者の全日本プロレス武藤。その後は地方巡業を転戦しながら社長業をこなし、台湾で4日間に及ぶプロモーション活動を行うなど、休む間もなく全国を飛び回ってきた。
化身グレート・ムタが9・28横浜大会で3冠ヘビー級王者となったこともあり、最近は身辺も慌ただしい。この日の会見では「ベルトを持って台湾を回ってIWGPの権威、知名度を上げに行くなど、俺もいろいろあった」とさすがに疲労困ぱいの様子。さらには「コンディションが整ってない」と体調不安を吐露した。
パンク寸前のヒザもさることながら満身創痍。そんなチャンピオンを横目に盤石なのが中邑だった。
会見では「前回、自分が持っていたIWGPの防衛に失敗してから約半年が経った。その間、武藤選手が防衛を重ね、化身であるムタが3冠を巻いて、これ以上ないおいしい相手になっている」と舌舐めずり。続けて「この一戦を勝って時代を変換させることを誓う」と王座奪還に照準を合わせる。
中邑にとっては4月に王座陥落したときと今回は立場が違うのも大きい。「前回は武藤敬司を体感したいという部分もあって、向こうのリズムに合わせすぎた。でも今回はメンタルの部分もだいぶ変わってくる。そして負けを喫した前回よりも武藤敬司をわかってる」
自らが流出を許したベルト奪還に自信をみせる中邑に対し、そんなチャレンジャーを「最高最悪の刺客」と評して危機感を露わにするチャンピオン武藤。果たして両雄にはどんな結末が待ち受けているのか、2人の闘いに要注目だ。