「福岡ソフトバンクが強いのは分かっていたが、巨人ってこんなに弱かったっけ?」
第4戦の1回裏、このシリーズで巨人が初めて先制点を奪った直後、ソフトバンク・柳田の逆転2ランが飛び出した。その打った瞬間にホームランと分かる大飛球に、こんな指摘がされていた。
「まるで、直球が来るのが分かっていたみたいなフルスイングでしたね。ひょっとしたら、ソフトバンクのスコアラー陣が巨人の各投手のクセ、バッテリーの配球パターンなどを完全分析しているのかもしれません。選手の力量もあるが、スコアラー、コーチを含めた組織全体での敗北です」(プロ野球解説者)
試合後、球場にいたメディアにも、来季の巨人コーチの配置換えの情報が伝わってきた。杉内俊哉、村田修一の両二軍コーチが一軍に昇格するという。若いコーチの昇格は、阿部慎之助二軍監督の近い将来の一軍監督就任への布石とも言えるが、スコアラーなど裏方スタッフを含めた組織改革の一環だろう。
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また、大敗はエース・菅野智之の去就にも影響していた。今オフのポスティングシステムによる米球界挑戦、これまで沈黙を貫いてきたのとは一変して「熟考中」という“具体的な本人の気持ち”も伝えられたが、それも変わりつつある。
「2年連続でのシリーズ4連敗って、NPB史上初ですよ。こんな屈辱的な負け方をした後にチームを去るなんて…」(ベテラン記者)
関係者によれば、昨年オフに山口俊投手を球団初のポスティングシステムで送り出した後、その手順や、書類の英文化など手続き上に必要な作業をマニュアルにしたという。球団も「菅野の挑戦」に備えていたのだろう。
「米球界では、菅野を『田中将大と同等か、それに近いものを持っている』と評価しています。菅野の動向を確かめてから、米国内のFA市場の動きが決まるようです」(米国人ライター)
田中が米球界に挑戦したのは、13-14年オフ。“同等”と評価されているそうだが、大きな違いがある。田中は楽天イーグルスを日本一に導いた後に渡米した。今年のシリーズ大敗という事実は変えようがない。
前出のプロ野球解説者が今オフの国内FA市場について、こう説明する。
「国内FA市場ですが、巨人はDeNAの梶谷隆幸外野手、先発の井納翔一投手に狙いを変えたようです。埼玉西武のクローザー・増田達至投手にも興味があるみたいですが、交渉の優先順位は梶谷が一番で、菅野が残留したら、次が増田。米挑戦したら、先発の井納」
米球界、国内FA市場にも影響が出そうだ。
もっとも、ソフトバンク打線に痛打を浴びる度に下を向いていた巨人ナインの精神的ケアの方も必要だが…。(スポーツライター・飯山満)