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【これって売れてる?】 社会現象を狙ってる? “落ち目サブカル界”の救世主「神聖かまってちゃん」

 ツイッターやニコニコ動画など、インターネットにいろいろ新しいサービスが出来て、ブログもミクシィも携帯のメールでさえほとんどやらないアナログ派な記者はもはや浦島太郎状態。今まではそういったものを使いこなせなくとも、どうにかやってこれたのだが、とうとうこれらが使えないと、存在さえも理解できないバンドが登場してしまった。それは、2ちゃんねるを荒らし、ニコ動で曲を配信し、ツイッターでフォローされまくりのバンド。今話題の「神聖かまってちゃん」である。

 彼らは、前に紹介した「黒猫チェルシー」と良く似ていながら、まるで反対側にいるような人たちで「黒猫」が外なら「かまってちゃん」は内。とにかくインドア風で、ニートやひきこもりを強く意識しながらも、あくまでも「学校」にこだわっているあたりが、何とも味わい深い。で、テレビに出ない彼らの音楽は今、直接ライブ会場に行くか、スペースシャワーTVを見るか、TUTAYAでタダでCDを借りるか(ちゃんとタワレコでも売ってるけど)、インターネットで動画を見るしかない。とりあえずニコニコ動画を利用するのが手っ取り早いだろう。

 という訳で、「神聖かまってちゃん」見たさに初めてにニコ動の会員になって彼らのライブ映像などを見る。音が悪い。映像も悪い。演奏もメチャクチャ。なんだこれ、ひどいバンドである。子供っぽい容姿の彼らが酒をあおり、手首を切るパフォーマンス。全て音楽界やプロレス界の偉大な先人がやっているので、年配者にとっては目新しくもないのだが、今や落ち目のサブカル界にとって「飛んで火にいる夏の虫」みたいな逸材なので、「細くもろく傷つきやすい“負オーラ”」が大好きな、音楽雑誌の記者たちのアイドルと化している。

 しかし、「細くもろく傷つきやすいモノ」がこんなに強いエネルギーを発するわけもなく、コンピューターを駆使し、ダメ系男子3人の中に利発な女の子(みさこ)をドラムに起用するあたり、もう売れる気まんまんである。世間の荒波に淘汰されそうな“弱さ”をもってして、実は異常に高い生存能力や野心を見せつける彼ら。このしたたかさ、けっこう好きだ。

 ある一定の法則で生まれてしまった「はじかれ者」たちの心をくすぐる、「神聖かまってちゃん」。彼らは、しきりに「自分らしさ」を歌い、自分らしさの裏返しにある厳しい「現実」や「痛み」を見せ付ける。みんなが心にもつ傷にあえて塩を塗り、強くひっぱって開いてはどびゅっと血も出す残酷さ。ああ美し楽し、ドMロックと表現したらいいのだろうか。(コアラみどり)

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