だが、裁判で明らかになった加勢の薬物への依存は深刻だった。検察は高校時代から大麻、覚せい剤に手を染めていたことを明かした。大麻を本格的にやりだしたのは2006年からで、週に3、4回やることもあったという。匿名のタレコミによって警視庁が自宅に踏み込んだところ、覚せい剤0.88グラム、大麻9.05グラムを所持していたほか、プランターに大麻25株が植えられていた。
注射器や大麻の吸引パイプも押収された。加勢は「申し訳ない。悪いとは分かっていたが、軽く考えていた。反省している。ファンを裏切って申し訳ない」と謝罪した。
だが、問題はファンを裏切ったことではない。加勢自身に薬物への依存を絶てる意志の強さがあるかどうかだ。麻薬取締部のOBが言う。
「覚せい剤事犯の再犯率は50%を超える。ただでさえ難しいのに、芸能界でチヤホヤされてきた被告がただの市井の人としてこれから生きていかなくてはならないのだから、なおさら大変です。本人の強い意志はもちろん、家族の支えが必要となります」
裁判に証人として出廷した父親は自分が支えて社会復帰をさせると、何度も泣き崩れながら裁判長に訴えた。
だが、もうけっして薬物には手を出さないと誓ったはずなのに、再犯でつかまった芸能人は少なくない。覚せい剤をやめたはずなのに、何かのショックでクスリを打った時と同じ症状が出るフラッシュバックもある。
「覚せい剤は髪の毛が逆立つほどの快感と開放感をもたらす。今までのくよくよしていた自分がウソのように、無限の力を得たように感じる。反面、人間の脳の中枢を破壊し、人格すら崩壊させる。一度手を出した者が何かにつまずいた時、再び、クスリの力を借りようとするのはそのためです」(前出のOB)
田舎に帰って親元で暮らすとはいえ、38歳の大の男が家業の手伝いでは社会的な対面もある。人からどう見られているか、その視線に耐えられず、後戻りするケースもある。「加勢の親はステージママとしても知られた」(芸能記者)。本人を甘やかさず、よほど綿密に社会復帰のスケジュールを立てないと、再び世間を騒がせることになる。