−−8・30両国大会で征矢選手が、土下座をして長州さんに弟子入りを志願しましたが、長州さんとしては彼を受け入れるつもりですか?
「僕はどっちでもいいですよ。スタンスは変わらない。藤波さんのところのドラディション、佐山のリアルジャパン、新日本であろうが、誰と組んでも誰とやっても構わない。ただね、時代遅れなことはしない方がいいですよ。プロレス界が大変なときに、土下座した者がマスコミに載って反響を呼ぶようなことはまったくないですよ」
−−征矢選手は覚悟を決めて師である西村修選手から離れたわけですが、ちなみに、長州さんを全否定する西村選手の凄まじい怨念については、どう受け止めていますか?
「俺個人のストーリーはないですよ。自分で何か課題をつけてああだこうだとやるというのは、ここ何年かはないですよ」
−−両国では船木誠勝選手がプロレス復帰を果たしましたが、全日本のリングで船木選手との接点が生まれてくれば、またなにか面白いものが生まれるんじゃないかという期待もありますが、船木との接点は入れ違いですよね。
「やっぱりね、人生のいたずらみたいなもので、そういうめぐり合わせがあったらあったでどうなったか分からないし、なかったからこういう状態でいるんだろうし。組まれれば僕は誰とでもやるけど、流れの中に自分から入っていくというのはないですね」
−−船木選手の宿敵の鈴木みのる選手は、以前に「ラリアットプロレスは20年前に終わっている」と発言していて、明らかに長州さんを意識した発言だと思うのですが。
「やっぱり自分のスタンスは変えられるものではない。自分の持っているものでいままでリングに上がってきて、それはいわゆる『引かない』ですよ。でも彼の言うように、すべてが終わっているのかもしれないし(笑)」
−−それはないと思います。
「いや、本当ですよ。謙遜でもなんでもない。やっぱりいろんなケガもしてきたけど、三沢君のような事故が起きるし、やっぱり無事にリングを下りて無事に終わりたいというがありますよね」
−−征矢選手に限らず、いまのプロレス界は若い選手たちが頑張っていますよね。
「ウン、若い奴は頑張っているよね。ただ意味合いは違うけど、征矢君の四角いパンツは好きじゃない。パンツはトランクスで黒い靴にすべき。僕のいまのプロレスの捉え方は、これは別にいまの時代が悪いというわけではなくて、すべてのリングの中が、いま流行のオープンキッチンですね。すべて見えている。選手全員がシェフで、料理を作るところからすべてが見えている。客は安心して見れるよね。でもプロレスというジャンルはちょっと違うね。やっぱり客が安心したらこの世界は面白くないんじゃないかな。ノレンの奥から手だけ出て、出てきた定食に『エッ』と驚いて、それを食べて『誰が作っているんだ』とわからない方が俺はいいと思うんだけどね」
−−そうした問題提起は業界のためになるものですよね。
「それは俺が一人で感じるだけだよ。問題提起とか、そんな偉そうなことは言ってないですよ。ただ、客が安心しているところがもうシンドいというか。それに選手は気付かないと。見る方もワクワクしながら会場に足を運んでほしいという部分がありますから」