「巨人では昨年あたりから、大勢のグループで自主トレをするのではなく、ごく少数で行う傾向が強まってきました。ただ、ベテラン、中堅が面倒を見なければならない選手もいるので、その役目を菅野が担うことになりました」(ベテラン記者)
野球協約によれば、12月1日から1月31日までは、球団主導による試合や練習、技術指導が禁止されている。今さらだが、選手たちは2月1日のキャンプインをベストコンディションで迎えるため、自主トレを行うのだが、複数の選手が集まる合同自主トレのスタイルが定着している。
若手は自主トレでチームの中心選手と一緒に練習することで「学ぶ」。調整法や体調管理はもちろん、野球に対する考え方も学び、そこから自分流のやり方を築いていく。自主トレ期間の施設使用費、宿泊代、食費は先輩の奢りとなる場合が多いという。したがって、「自主トレに何人の若手を連れて行ったか」で、その選手の影響力、人望をはかることもできる。
「巨人は大きく分けて、阿部慎之助を中心とするグループと、高橋由伸監督(現役時代)のグループに分かれていました。高橋は監督となり、阿部は不振や故障が続いたため、長野久義、坂本勇人が代わってグループをまとめるようになりました」(前出・同)
投手陣では内海哲也が影響力を持ち、自主トレ途中から阿部グループに合流していた。しかし、菅野智之はやんわりとそのグループからの誘いを断り、自身の一派を形成。意識して対抗したわけではないが、近年では西村健太朗、澤村拓一らのグループと途中合流するなどし、それなりの影響力を持つようになってきた。
「澤村は一人と一人、練習のメニューが違うとし、単独での自主トレを望むようになりました。長野も30代となり、チームの将来のため、若い選手が自主トレを仕切ったほうが良いとし、菅野を後押しするような言い方をしています」(球界関係者)
菅野は大田、橋本といった野手にも自主トレ合流を呼び掛けたこともあった。すでに「影響力のある選手」「チームをまとめる立場」となっていたようだが、長野たちが「オマエが仕切るべき」と言うのなら、その存在感はさらに増していく。
「菅野は一人でも練習できるんです。自分で練習メニューを作ってそれを黙々とこなし…。学生時代からそういう鍛えられ方をされたようですね」(前出・同)
ドラフト1位選手であり、球団は菅野が仕切ることをむしろ歓迎しているという。
ペナントレース公式戦はまもなく終了する。巨人はCSを戦う。日本シリーズ進出の可能性はまだゼロになっていない。しかし、早々にオフの過ごし方についてが聞こえてくるということは、“逆転進出”よりも来季を見据えているからだろうか。