市橋容疑者と18日に接見した弁護士によると、栄養剤の投与を受けたのは16日。当初は万が一にも体調を崩すことのないよう“念のため”に注射したものとみられていたが、なんと取り調べに向かう途中、ふらついたための緊急措置だったことになる。
弁護士によると、市橋容疑者は16日、県警行徳署の留置場を出て取調室に向かう際にふらつき、県警の判断で栄養剤を注射したという。実際にひざをついたかどうかは不明だが、いわばボクシングでいうところの“ニーダウン”状態。ノックアウト寸前とみていい。
ところが市橋容疑者は、弁護士に「(注射を)受ける気はなかった」と話したというから強気。弁護士は、市橋容疑者が注射を望んでいないことを「警察に言ったかどうか知らない」としている。
同容疑者はやせ形のマッチョマンとされる。高校時代に陸上部のスプリンターとして鍛えた体を、大阪潜伏中に工事現場の肉体労働でさらに磨きあげた。そもそも事件発生当初、千葉県警の捜査員を振り切って逃げたほどの脚力の持ち主だ。
事件取材するジャーナリストは「捜査当局は、市橋容疑者がわざとふらついた可能性も考えたほうがいい。まだ逃げ出すチャンスをうかがっているかもしれない」と指摘。実際に弱っている可能性もあるが、同容疑者の場合はそうと言い切れない部分がある。
千葉県警行徳署に移送されてから、断食はきょう19日で9日目に突入した。留置中の被疑者が食事を「とった」「とらない」はいちいち公表されないうえ、市橋容疑者と18日に接見した弁護士は「(きょう)食事を取ったかは知らない。本人も言わない」と述べた。
しかし、10日の逮捕以降、頑なに食事を拒んできた同容疑者がついに食べたとなれば、心境に変化があったともとれるため、そうした情報は出てくるほうが自然。隠す性質のものではない。
捜査関係者は17日、体調を崩すと取り調べができなくなるため、署に医師を呼び栄養剤を投与したことを明らかにしている。
断食を続けることによる“猿芝居”は通用しない状況で、市橋容疑者が今後も食事を拒み続けるかどうか注目だ。