「向こうからの告白で付き合ったのですが、交際してからは自分が元カノに夢中になりました。元カノのことを、当時はとても魅力的な女性だと思っていたんです。元カノは身内が母親しかいなくて、借金もあるとのことだったので、助けられるときはお金を渡していました。でも、今思えば、それが大間違いだったんですよね」
Nさんの好意は、元カノばかりか、その母親からも利用されることになってしまったという。
「元カノは、当たり前のように自分に対してお金を要求してくるようになりました。そればかりか、元カノの母親がデートについてくるようになって、洋服屋に行くと、元カノと母親の服を10万円近くも買わされました。それでも、母親公認の仲だという証拠だろうな、とか前向きに考えていたんです」
Nさんは、めげずに交際を続けたのだという。ところが、
「ある日、元カノから『どうしても大切なことがあるから、今から家に来て!!』と切羽詰まった様子で電話がかかってきました。家も近かったし、すぐに元カノの家に行ったんです。そうしたら、困り果てた顔の配達の人と、元カノがいて。元カノは自分の顔を見るなり、『30万。今すぐ出して』と言ってきました。着払いで30万の荷物を頼んだが、お金がないからとのことでした。最初から自分に払わせるつもりだったんでしょうね。払いましたけど…」
パパ活のパパ側の男性よりも悲惨な扱いをされていたNさんだが、ここまでのことをされても、別れを決意したのはNさんではなく、元カノのほうだった。
「自分が事故で骨折をしてしまって、数か月間働けなくなってしまったんです。そのことを元カノに電話で話すと、心配してくれるどころか、『あんたが働けない間の私のお金はどうなるの!?』とだけ言われて、電話を切られました。その後は元カノと連絡がつかなくなりました。しばらくの間は、女性自体に懲り懲りでしたが、幸い今は妻子と幸せに暮らしています。元カノは、風の噂でひどい暮らしをしていると聞きました…」
利用する人間と、される人間なら、もちろん利用する人間のほうが悪い。しかし、自分を利用する人間の言うことを全て聞いてしまうことは、誰のためにもならないということではないだろうか。
文/浅利 水奈