さらに、巨人は米ダイヤモンドバックス傘下のマイナーにいた右腕、ルビー・デラロサ(30)も獲得している。このトレードで、巨人二軍首脳陣は試されているのではないだろうか。
というのも、「課題」を抱えた選手が2人もいるからだ。
去る6月30日、デラロサが本格的な投球練習を開始した。その時、興味深い光景も見られた。ジャイアンツ球場の室内練習場に移ると、スタッフもそれに付いていく。約20球を投げた後、デラロサに何かを伝えた。すると、デラロサはセットポジションを取り、制止した状態で左肩越しに後ろの方を見る。その仕草で、牽制とクイックモーションの練習をさせようとしたのは分かったが、巨人スタッフはストップウォッチでの測定までやっていたのだ。
「だいたい、1・1秒。上(一軍)でも大丈夫だと思う」(関係者)
投球動作を制止し、再び動作を開始してから投げ終わるまで、デラロサは1・1秒を要したという。先に巨人入りしたクックが1・2〜1・4秒だというから、デラロサのほうが「機動力」を多用する日本球界向きだとも考えられる。しかし、素早いクイックモーションができるかどうかは調査段階で確認しておくものだが…。
また、左腕・藤岡について、こんな情報も聞かれた。「蘇生できると見て、交換要員に指名した」と――。投手出身のプロ野球解説者がこう続ける。
「2011年ドラフト会議で千葉ロッテに指名され、今日に至りますが、その素質の半分も発揮していないというのが、日本ハムの評価でした。才能はある。ブルペン投球を見たら、今、ナンバー1の左腕ではないかと思うほど。だけど、実戦マウンドに上ると別人になってしまい…」
巨人の二軍スタッフも「このままではもったいない」と思ったのだが、日本ハムも千葉ロッテとの藤岡の交換トレードを成立させた時、同じようなことを言っていたが。
「同じ左投手ということで、今季から指導者に転身した杉内俊哉ファームコーチが指導に当たる予定です。そして、木佐貫洋ファームコーチがデラロサを担当します。投手の育成では定評のある小谷正勝巡回コーチもいるので、大丈夫でしょう」(前出・関係者)
二軍調整中のゲレーロが投球練習を終えたデラロサに近づき、談笑をしていた。関係者によれば、「デレーロが日本流の練習、クイックモーションの重要性を伝えた」とのことだ。昨季、高橋由伸監督との直接会談を拒否したように、ゲレーロは気難しい性格だと思われていた。指揮官の交代で、チームの雰囲気も確かに変わったが、“後輩思い”な言動は、中日時代にもなかったはずだ。
「原辰徳監督はファーム担当のコーチを一時的に交代で一軍に帯同させています。一軍のミーティング、スコアラーから上がってくるデータをどうやって活用しているのか、見て覚えさせ、二軍から昇格してくる若手に助言できるようにしろ、と指導しています」(同)
藤岡の蘇生が特にそうだが、二軍担当の若いコーチたちは試されているのではないだろうか。
二軍に降格していた新人・髙橋優貴が近く、一軍に合流するという。ペナントレース序盤は先発ローテーションを任されたが、投球パターンを読まれてしまった。その課題が克服されているのかどうか、ここでまず、二軍担当コーチたちの手腕が分かるだろう。(スポーツライター・飯山満)