近畿厚生局麻薬取締部の調べでは、藤田容疑者は9日朝、自宅官舎で鉢植えの大麻草55本を栽培していた疑い。「2年ぐらい前から栽培していた。自分でも吸っていた」と供述しており、育てた大麻を“自家用”だけでなく売買していた可能性が浮上している。
藤田容疑者はれっきとした国交省配下の国家公務員。近畿地方整備局大戸川ダム工事事務所(大津市)で用地課主任をまかされており、主に買収した用地に不法投棄がないかをパトロールする担当という。
職員逮捕を受け、9日深夜に会見した大戸川ダム事務所の岡山公雄所長は「処分歴はなく、予想もしていない出来事で極めて遺憾」と戸惑いを隠せない様子だった。整備局によると、藤田容疑者は4月以降、体調不良を理由に週の半分程度しか出勤しておらず、事件発覚後に職員らにふだんの様子を尋ねたところ、不審な点に気付いた同僚は皆無だったという。むしろ同僚と離れてひとりでいることを好み、無口なタイプだったようだ。
しかし、大胆というか、栽培していたのが官舎だけにさまざまな疑念が浮かんでくる。まさか売買によってもうけていなかったか?
職員間で売買していなかったか?
岡山所長は同僚らへの売買の可能性について「逮捕された事実以上の情報がない」と述べるにとどめた。当然ながら、職員には今後も詳しく話を聞くだろうが、現時点では売買の可能性を100%否定できなかった。
藤田容疑者は大麻の入手先について「インターネットで種を買った」などと供述。4畳半の部屋をアルミシートで覆って天井からライトを吊るすなど細工し、早く成長するよう丹念に育てていたもよう。2回にわたって“収穫”していたとの情報もある。麻薬取締部は日常的に使用していた疑いもあるとみて、具体的な入手経路などを調べている。
藤田容疑者は官舎で妻(36)と暮らしており、米国留学経験のある妻と一緒に吸うこともあったという。
国交省近畿地方整備局の木下誠也局長は「職員が大麻取締法違反で逮捕され、極めて遺憾。事実関係を確認し、厳正な処置を講じる」としている。