2020年も、そんな地方議員による不祥事が相次いだ。代表的なものを振り返ってみたい。
1.ネットオークションマスクを転売
静岡県議会の諸田洋之議員(当時53)が、新型コロナウイルスの感染が拡大し、マスクが店頭から消える事態となっていた2月4日から3月6日にかけ、医療用のマスク2000枚セットなどを89回にわたって出品し、計888万円を売り上げていたことが発覚した。
このニュースが全国に拡散されると、「不適切だ」「政治家なら無償提供するべきだ」など批判が殺到。これを受けた静岡県議会は「県民の範となるべき議員と自覚と品位に著しく欠ける行為で県議会の名誉を傷つけ、県民の信頼を大きく失墜させた」として、問責決議案を全会一致で可決する。
諸田議員はこの決議を「重く受け止める」としたが、「県議の仕事で恩返ししたい」と事実上拒否。現在も辞職することなく、活動を続けている。
2.飲酒運転
2020年11月22日、和歌山県湯浅町議会の山本年哲議員(当時47)が、同県有田川町で飲酒運転したとして検挙された。
同議員は11月21日夜から11月22日午前3時頃まで、和歌山市内で酒を飲み、自身の所有する軽自動車を運転。、阪和自動車道有田インターチェンジの料金所付近の検問で止められ、検挙される。同議員は飲食店3軒で焼酎や水割りなど5杯以上飲んでいた。事案発覚後、「普段は市内のビジネスホテルに宿泊していたが、その日は空いてなかったことから魔が差してしまった」と反省の弁を述べている。
責任を感じたと思われる山本議員は、11月24日に務めていた副議長を辞任すると、12月3日に辞職願を提出し、議会はこれを許可した。
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3.新型コロナウイルス感染後の自宅療養中にパチンコ
石川県金沢市議会議員の松村理治議員(当時69)は、新型コロナウイルスに感染し、4月7日に退院。医師から2週間程度の自宅待機を求められていた。
ところが、同議員はその忠告を無視し、5月19日午後2時頃市内のパチンコ店を3時間程度利用。その間、市議会の委員会はコロナ感染を理由に欠席していた。事態については「緊急事態宣言が解除され、パチンコ店の休業要請も解除されたと勘違いした」「中の状況が気になり、入ってしまった」と話した。
批判が高まる中、金沢市議会は6月22日に辞職勧告決議案を賛成多数で可決する。松村議員は同1日から22日まで欠席しており、その間の議員報酬や政務活動費、そして期末手当も受け取った。辞職勧告決議を受けた松村議員だが、これに応じることはなく、現在も金沢市議会の議員名簿に名を連ねている。
消費増税や新型コロナウイルス感染拡大で、庶民の生活が苦しくなっている昨今。そんな中で、不祥事を起こす地方議員に報酬を支払うことを疑問視する声がある。地方議員のあり方や税金の支払いについて、考え直す時期に来ているのではないだろうか。