「名前のプレートは付け替えたけど、このベルトもだいぶ傷んでいるようなので、しっかり直さなくてはいけないところがあるな」
ジェイは持参したベルトを指差しながら話すと、ベルトにスイッチブレードのネックレスをかけ、サングラス越しに笑みを浮かべた。
それもそのはず。新日本はアメリカの団体ROHと合同で開くマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)大会『G1 SUPERCARD』(日本時間4月7日、ニューヨーク)のメインイベントでIWGPヘビー級選手権試合を開催すると正式に発表。『ニュージャパンカップ2019』(NJC、3月)の優勝者が王者のジェイに挑戦する。今年のNJCの優勝者は、IWGPインターコンチネンタル王座、NEVER無差別級王座への挑戦権がなくなったことで、IWGPヘビー級王座との二冠を狙う内藤哲也のエントリーも可能になったのだ。
「ナイトーがこのベルトにも狙いを定めているとコメントをしたかもしれないが、だとしたら歓迎するよ。NJCでせいぜい頑張ればいい。今からメッセージを言おう。もし、これを内藤が見ていないと言うなら、子分のEVILでもSANADAでもいいから、しっかりとこれを見るように伝えてくれ。もし、このベルトを獲りに来るのなら、NJCで自分の実力を証明して見せるがいい」
ジェイは生配信中のカメラに向かって、覚醒後まだ“触れていない”内藤を挑発した。大阪大会では欠場中の飯伏幸太が登場し、NJCから復帰する考えを明らかにしているが、飯伏に関しても意識している模様だ。
既に勝っているオカダ・カズチカや棚橋は視界に入っていない。棚橋に関しては「もしMSGに来るようであれば、第1試合のタッグマッチか何かで楽しい試合をして、ファンの前に姿を現す。それぐらいでいいんじゃないか?」とロートル呼ばわりした。
しかし、前夜の棚橋戦で見せたインサイドワークについては「もうバカみたいに打ち合ったり、ダメージを与え合うのが、闘いではないと思っている。もう自分の脳にダメージを与え続けることをやっても仕方がない。だからこそダメージが少ない闘い方をした。そして、それが正解であったということが、今、目の前にベルトがあることで証明できたと思う」と持論を展開。皮肉にも棚橋がケニー・オメガと争ったイデオロギー闘争と通じる部分をジェイからも感じた。
「MSGは伝統のある素晴らしい会場だ。そこで俺は、史上初のIWGPヘビー級ベルトを巻いて花道を歩く男になるんだ。そして、史上初のIWGPヘビー級ベルトを防衛する男になる。みんな気に入らないだろうな」
「オレは(客寄せ)パンダにならない」とジェイ。ファンが納得しなくても、支持をしなくても関係ないという。「自分自身がベルトを持って新日本プロレスのフロントマンとして立っている。これだけで絵になるし、新日本プロレスを世界規模の団体に押し上げることは可能だと思う」とまで言い切った。
オカダやケニーが歩んだモンスター街道を順調に歩んでいる26歳の新日本生え抜きの外国人選手だが、ファンの支持はまだ得ていない。内藤がそうだったように、ここからはジェイとファンの我慢比べ。己の力で“望まぬ”支持を得られるかどうかが大きなポイントになるだろう。
取材・文・写真 / どら増田