『THE NEW BEGINNING in OSAKA』
▽11日 大阪・エディオンアリーナ大阪 観衆 5,570(札止め)
新日本プロレス1.4東京ドーム大会で、涙のIWGPヘビー級王座8度目の戴冠を達成した棚橋弘至がベルトを明け渡した。自身のチャンピオンロードの中で初めて、1度も防衛することなく昨年秋からモンスター化したジェイ・ホワイトに敗れた。
棚橋人気が高い大阪のファンが静まり返った…。
1.4ドーム大会の大会終了後、棚橋が勝利者インタビューを受けている際に、突然現れ棚橋に挑戦表明したジェイ。ジェイはドーム大会でオカダ・カズチカを“正攻法”で倒しているだけに、棚橋に断る理由はない。「俺とオカダを組ませたんだから新日本のキーパーソンでしょうね」と評価していた。しかし、オカダと組んだ前哨戦では、ジェイのブレードランナーを食らい続け、2.2札幌・北海きたえーる大会では新技TTO(裏足4の字固め)でギブアップ負けを喫している。また椅子を使って棚橋のウィークポイントの膝を徹底攻撃していた。TTOは棚橋の膝にダメージを与えるには効果的な新技だ。
「大丈夫!」
自らそう言い聞かせて臨んだ初防衛戦だったが、試合は一進一退の好勝負に。ジェイの攻撃をスリングブレイドで切り返し続けていく棚橋。マネージャーの外道が巧みなインサイドワークを見せる中、ジェイも棚橋の厳しい攻めを受けまくった。さらにこの数ヶ月で身につけたテクニックで、棚橋に“間”を持たせず、掟破りのドラゴンスクリューを披露。駆け引きの面でも成長を見せつけた。最後もハイフライフローを避けた瞬間を捉えて、ブレードランナー一発で3カウントを奪取。26歳のジェイが外国人選手最年少のIWGPヘビー級王者となった。30分を超える激闘を制したジェイに対し、棚橋は精根尽き果てた様子を見せた。
棚橋は過去、オカダとAJスタイルズに2月、大阪でIWGPヘビー級王座を奪われており、2月の大阪での防衛戦は“鬼門”。今回ジェイに敗れたことで、この印象がより鮮明になった。果たして9度目の戴冠はあるのか?3月に開催される春の最強戦士決定トーナメント『ニュージャパンカップ』への出場も含めて動向が注目される。
ジェイはケニー・オメガ、オカダ、棚橋といった歴代のIWGPヘビー級王者を倒してきた。しかし、まだファンの支持は得られていない。この勢いが本物かどうかを見極めるには「IWGPヘビー級王座とインターコンチネンタル王座の二冠」の偉業を狙う“あの男”との対戦しかないだろう。ジェイと内藤哲也との接触はもう間近だ。
文・取材・写真 / どら増田・渡辺潤