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「墓参ラー」とはいかに?

 建物や神社仏閣の取材に行くときは、利用者や参詣者の迷惑にならぬよう平日早朝を指定されることがある。鎌倉へ撮影に行った時の光景をご紹介したい。

 早朝、鎌倉駅周辺は勤め人が多かった。朝練と思われる中高生の姿がちらほら。駅から離れると、閑散となり、逆に目につくのが観光客。ひげをぼうぼうに生やしたまじめそうな顔の外国人青年がいる。シャッターがまだ下りているみやげ物屋の前にたたずんでいる。バックパックを傍らに置いて、地図とにらめっこをしていた。声を掛けると、大仏様へ行きたいらしい。道を教えると、ほっとした顔で「サンキュー」。よいことをした気分になり足取りが軽くなる。

 目的地へ到着すると、付近一帯は静まりかえっている。まだ、カラスが本堂の屋根を占領し、リスが境内を走り回っている時間帯。朝の参詣に訪れる地元の人や外国人観光客の姿を見かけることもある。しかし、なんといっても、一番多いのは女性たち。その日は、人影があったと思ったら、ことごとく、若い女性だった。

 話を聞いてみた。

 2人連れの若い女性は、都内の大学院に通う友人。大学院の休みを利用して、一泊二日の「女子旅」に来た。出身は、さいたまと大阪。1人は「ハツカマ」(=初めての鎌倉)で、もう1人は「サンカマ」(=3回目の鎌倉)。「サンカマ」の女性は、鎌倉の魅力を「神秘的」と表現した。知的でお嬢様ふうの2人は、「パワスポ」などの言葉には反応を示さなかった。

 別の寺へ行くと、前の場所でデジカメのシャッターをお願いされた女性と目が合った。「どうも」と会釈をしてくれて、話を聞いてみた。都内から日帰りで来た大学生。鎌倉には、よく一人で来るそうだ。仏像に詳しく、「お墓も好きなんです」。記者が「源頼朝のお墓から、がけを伝って、大江広元のお墓まで歩きましたよ」と話したら、「私もその道で行きました」。女性に特定の価値判断を当てはめるわけではないが、鎌倉にはそもそも軍事目的で作られている道もあり、そのがけ道も滑り落ちてけがをするなど、少々(というかかなり)危険であることは確か。女性が一人で通る様子はあまり想像できない。その後、北条義時のお墓や、三浦泰村のお墓の話題で盛り上がる。

 仏像に加え、お墓参りに関心を向ける若い女性が多いとは聞いていた。しかし、大河ドラマで放映中の江と秀忠や、篤姫、あとは、坂本龍馬・おりょうとか、自分が好きな文学者のお墓を訪ねるものと思っていた。今回、出会った女性は、そういったレベルを超えている。はたして、「墓参ラー」とは、いかなる現象なのか。

 成り行きが注目される。(竹内みちまろ)

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