今季、なかなか調子が出ないイチローだが、自軍に故障者があって、開幕からスタメン出場を続けていた。だが、オープン戦で右前腕部を骨折して欠場していた同じ外野手のカーティス・グランダーソン(32)が5月14日(日本時間15日)に戦線復帰。
これにより、ヤンキースのレギュラー格の外野手はイチロー、グランダーソン、ブレット・ガードナー(29)、移籍のバーノン・ウェルズ(34)と4人になってしまった。当初はグランダーソンやウェルズが指名打者に入るケースもあったが、正指名打者のトラビス・ハフナー(35)との兼ね合いもあり、いちばん成績が劣るイチローが控えに回ることが多くなっていた。
選手を交代で起用してきたジョー・ジラルディ監督も、「ある時期にきたら、たぶん毎日同じ顔触れをスタメンで起用することになると思う」と、4人のうちの1人を控えに固定することを明言していた。
ところが、24日(同25日)のレイズ戦で、グランダーソンが左手に死球を受け、左手小指を骨折し、再び戦線離脱した。全治には1カ月ほどかかる見込みだ。
チームメイトの負傷を喜んでもいられないが、これによって、イチローは命拾いし、スタメン復帰を果たした。
ただ、これはあくまでも、一時的なもので、力でレギュラーを奪い返したわけではない。イチローの27日(同28日)現在の成績は、159打数39安打8打点2本塁打5盗塁で、打率は.245とさびしいもの。
グランダーソンが欠場しているうちに、調子を取り戻し、ガードナーやウェルズを上回る成績を上げなければ、グランダーソンが復帰した際には再び控えに降格することが濃厚。イチローはいよいよ正念場を迎えたようだ。
(落合一郎)