今季のイチローはスタートダッシュでつまずき、開幕当初は低迷。4月下旬から当たりを取り戻したかにみえたが、5月10日(日本時間11日)の猛打賞を最後に、パッタリ止まってしまった。
11日(同12日)から16日(同17日)の第2打席まで、22打席ノーヒットの不名誉な記録をつくるなど、11日から17日(同18日)までの7試合で、27打数2安打で打率.074と極度の不振。今季通算では、137打数33安打8打点2本塁打5盗塁、打率.241と低迷。本来のイチローの打撃には、ほど遠い結果に甘んじている。
タイミングが悪いことに、オープン戦で右前腕部を骨折して欠場していたカーティス・グランダーソン(32)が14日に戦線復帰した。ヤンキースでは開幕直前に、グランダーソンの穴埋めのために、エンゼルスからバーノン・ウェルズ(34)をトレードで獲得している。外野には他に、ブレット・ガードナー(29)がおり、これで、レギュラー外野手が4人存在する事態となってしまった。
現状、グランダーソンやウェルズが指名打者に入って、4人とも生かしているが、その起用法が長続きするとは思えず、指名打者が使えない試合もあるため、いずれ誰かがスタメン降格となる。
復帰したグランダーソンは昨季、チーム最多の43本塁打をマークした長距離砲で主軸を打っているだけに、スタメンからは外しづらい。そうなると、イチロー、ガードナー、ウェルズの3人の内の誰かがスタメン落ちの憂き目に遭うことになる。
ライバル2人の成績(16日=同17日現在)は、ガードナーが打率.253、3本塁打、14打点、9盗塁。ウェルズが打率.295、10本塁打、23打点、5盗塁。単純に数字だけを比較すれば、イチローがいちばん悪いのだ。
昨季、前半戦不調だったイチローは、7月下旬にマリナーズからヤンキースにトレードになると、見違えるように打ち出して、移籍以降の打率が3割を超えた。この好成績が今季の契約につながったが、昨季並みの活躍をしなければ、競争の激しいヤンキースでは生き残れない。
守備、走塁面での貢献度も高いイチローだが、打撃の状態がこのまま上向かなければ、スタメン落ちどころか、完全に控えに回されてしまう恐れもある。まさに、正念場を迎えたといえよう。
(落合一郎)