万年下位のマリナーズ時代はマイペース調整に務めてきたイチローだが、常勝軍団ヤンキースに移籍して初めて迎えるキャンプには、決意の丸刈りで臨んだ。「練習の流れは合理的」と評したイチローは、約2時間半にわたって汗を流した。
イチローは昨年7月にマリナーズから電撃移籍を果たし、67試合出場、227打数73安打5本塁打27打点14盗塁、打率.322の好成績をマークして、チームの地区優勝に貢献した。
昨季は正左翼手のブレット・ガードナー外野手の故障で、左翼に入ることが多かったが、正右翼手のニック・スウィシャー外野手が放出され、今季は右翼での起用が予定されている。ジョー・ジラルディ監督も「右翼で考えている」と、レギュラーの座を明言している。
しかし、イチローは「レギュラーが決まっているわけじゃない。しっかりポジションを奪わなければいけない。チームから必要とされる選手であることを、この期間に思ってもらえるようにやらなくてはならない」と、新人さながらの気持ちで取り組んでいる。
昨季はスタメンから外れ、代走や守備固めで途中出場する機会も多かったが、常勝軍団では、それも覚悟の上。打順にも「どこでも任せられるような選手にならないと」と、こだわらない姿勢を示した。
日米通算4000本安打まで、あと116本。メジャー3000本安打まで、あと394本と個人的な大目標があるが、「(目標は)いっぱいありますよ。増えるかもしれない」と具体的な目標は口にしなかった。
フィリーズやジャイアンツが好条件を提示するなかで、それらを下回る条件でヤンキースに残留したイチロー。その理由は、このチームでワールドシリーズ制覇を目指すため。そのワンピースに徹するべく、イチローは右翼の定位置確保に動き出した。
(落合一郎)