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『投壊』でも補強はいらない! 原監督の温情采配

 2位阪神に「0.5ゲーム差」と肉薄された巨人は、一、二軍ともに投手陣が混乱している。しかし、その混乱は原辰徳監督(51)の“愛情表現”の代償でもあるようだ。
 「勝ち頭の東野(峻)を中4日で緊急させるなど、先発陣は火の車です。ゴンザレスが2カ月間も勝ち星がないのが痛い。右肘を故障したグライシンガー、オフの調整に失敗したゴンザレスの不振は、首脳陣も想定していましたが…」(プロ野球関係者)

 7月11日には、『11試合連続2ケタ被安打』の球団ワースト記録を更新してしまった。
 そんな先発投手陣の不調のしわ寄せは、二軍にも及んでいる。「左の中継ぎ」として、オフにトレード獲得した高木康成(28)、将来のクローザー候補である新人の土本恭平(25)を先発テストすることになったのだ。
 「高木は昨年9月、先発登板しているからテストする価値はあると思います。でも、土本は…。JR東海時代に逆上っても、先発登板は数えるくらいしかないはずですよ。土本クンは救援タイプの投手です」(在阪球団スカウトマン)
 現在の窮地を象徴するような“配置換え”だが、原監督はフロントに『補強』を求めていない。グライシンガーが今週中にも投球練習を再開させるとの情報はあるものの、「現有戦力で最後まで戦う」とする原構想はあまりにも危険だ−−。
 「こういう状況に陥り、東野、内海は危機意識を強く持ち始めました。ベテランの藤井も同様です。日本人投手からエースを育てたいとする原監督のチーム構想通りに事は進んでいるんでしょうが…」(前出・プロ野球関係者)

 高木、土本が『結果』を出せなければ、黄志龍、野間口貴彦を一軍昇格させることになるだろう。グライシンガーも早々に合流させなければならないが、手術明けである以上、大車輪の活躍を期待できない。トレード締め切り日は7月末日。もはや、フロントに『補強のSOS』を出したとしても、「もう間に合わない」というのが現状だろう。
 「原監督の度胸としか言いようがないですよ。昨春のWBC以降、どんな窮地になっても表情を変えなくなり、“名将”の風格みたいなものは出てきました」(前出・関係者)

 日本人エースの誕生を待つ度胸は認めるとして、後半戦をどう巻き返していくつもりなのか…。東野の登板間隔を狭めるなどの緊急措置は『球宴休み』を見越してのことだろう。巨人というチームは、「クライマックスシリーズに滑り込めばいい」という発想は絶対に許されない。一部関係者は、「中継ぎの山口(鉄也)が本調子に戻れば、先発投手を5回で交代させることができ、原監督は山口の復調を待っている」と語っていたが、その通りだとしても、山口を先発に転向させ、不振に陥らせた原因は、原監督にある。
 オフの段階で先発投手を補強しなかったのは、山口を先発に転向させる構想があったためで、そのツケが今日の高木、土本の先発テストに及んだと言ってもいいだろう。
 「このまま阪神に首位を明け渡し、ペナントレースの優勝を逃すようなことになれば、原監督は『自分の責任で負けた』と言い切る覚悟もできていると思います。そういう指揮官の心境も分かっているから、首脳陣批判が出ないんだと思います」(前出・同)

 人を動かすのは『カネ』か、『情』のどちらかだ。原監督は後者のタイプということになるが、後半戦に投手陣が復調してくるかどうか、誰も分からない。「フロントが一方的に補強を押し付けてくる」なんて情報も聞かれたが、果たして−−。

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