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ニューヨークレポート 酒は「クール」で「非日常」

 松の内も過ぎれば日本は正月モードからすっかり平常モードに切り替わるが、ニューヨークでは正月という概念がなく、ニューイヤーのカウントダウンが終わるともう普通の日々に戻り、全く風情がない。

 ニューヨークではよく年末のカウントダウンをシャンパンで祝うが特にニューイヤーにお屠蘇や日本酒を飲む風習はない。その代わり、日本酒ブームのおかげで1年を通じてよく飲まれている。

 寿司を中心とする和食ブームには当然日本酒が合うという事で、和食ブームに少し遅れてブームに火が付いた「サケ」。
 日本酒用のリカー・ライセンスが取りやすい事もあって今では日本には見られない「サケ・バー」なる日本酒専門のバーまである。

 数ある日本の蔵元の中でもニューヨークで積極的に宣伝活動をしているのが岩手県の各種の品評会で上位入賞をはたしている「南部美人」の蔵元である(株)南部美人。岩手県二戸市にある同社の五代目蔵元の久慈浩介さんは大学卒業後家業を継ぎ、1997年からずっとニューヨークのジャパンソサエティで日本酒の試飲会を続けている。

 久慈さんの見るところ、ニューヨークのMEGU、NOBUといったアメリカ人をメインターゲットした「オオバコ」のレストランが日本酒ブームのけん引役となり、2000年頃からブレークし、販売が軌道に乗ったのは2002、3年頃からだという。

 貿易会社が主催する酒類の試飲会時だけでなく、ニューヨークに年に5、6回足を運び、地道にレストラン巡りをしている甲斐もあってか、「南部美人」はニューヨークの和食レストランのあちらこちらで目にする。評判も上々、とバーテンやオーナーが口を揃える。

 ニューヨーク初の精進懐石料理店「嘉日」がミシュランガイドで2つ星を獲得するなどますます和食の本格嗜好が強まっているから日本酒の需要も当分右肩上がりで推移して行く気配である。また、梅酒の販売許可も春には下りる予定というから、従来の焼酎ベースではなく日本酒ベースで甘さ控え目の梅酒も、ヘルシー志向で人気の出た寿司に続いてブームになりそうだ。

 17歳の時にアメリカにホームステイに来て、帰国前にエンパイア・ステートビルに登り、アメリカで日本酒が売れる時代を夢見たという久慈さんだが、それが実現した事になる。

 「クール」「非日常」「和食に合う」、それに新しい物は何でも1度は試すというニューヨーカーのフロンティア精神があいまった結果ブームとなった「サケ」。日本人に取ってのワインかシャンパンといった位置づけだろうか。

 ところで、アメリカ人ばかりに美味しい日本酒を飲ませておく手はない。ここ20年で、技術革新に拍車がかかり、かつては1万円程度だったのが3000円台で飲めるという、日本酒が最も安くて美味しい時代に突入したと久慈さんが「クール」な酒をホットに語ってくれた。(セリー真坂)

(株)南部美人
www.nanbubijin.co.jp

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