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清宮がプロ入り表明で阪神が分裂? 金本監督が熱望するもう一人のスラッガー

 怪物・清宮幸太郎(早実=3年)が進路表明会見を開き、プロ志望届を提出することを明かした(9月22日)。高校生が会見を設けて進路を表明するのは、異例中の異例。開始直前、司会進行役の学校職員が「午後1時10分から授業がありますので、その前に退席させてほしい」と説明した。そのアナウンスがされたときの時刻は、12時35分。12時過ぎまで午前中の授業があることは取材陣も知っていた。同40分から始まり、1時09分まで会見は行われたわけだが、取材陣は直前まで「清宮は昼メシ、食えたのか?」なんて軽口をたたいていた。

 しかし、当の清宮は試合同様に緊張した面持ちで現れ、プロ入りへの強い思いを語っていた。
「王貞治さんのような野球人になりたい。(王会長の記録の)868本を目指せるように…」
 目標は王貞治・福岡ソフトバンク球団会長だと明かしていた。かなりの高い確率でホークスは清宮を指名してくるだろう。しかし、この会見に“刺激”されたのは、ホークスだけではなかった。阪神も「清宮1位」に大きく傾き始めた。
「阪神も清宮の才能に早くから気づいていました。清宮か、履正社の安田尚憲内野手(3年)の2人を重点チェックしてきたんですが、佐野仙好統括スカウトを担当にあてています。スカウトを束ねる役職にあるベテランを直接担当にするのもそうですが、東西に跨がってとなると、前例はありません」(在京球団スタッフ)

 希望球団はないようだが、「阪神ファン」であることはこれまで受けたインタビュー取材のなかで明かしている。硬式野球クラブの関係者もこう言う。
「小学校の低学年のときに左打ちに変えているんですが、それは自分の意思でした。当時、阪神で活躍していた金本選手の影響です」
 金本知憲監督(49)なら、清宮を大きく成長させてやれるだろう。15年・高山俊、16年・大山悠輔。3年連続での野手1位指名の可能性も出てきた。生え抜きのホームランバッターは金本監督の指揮官就任時の公約であり、営業サイドも清宮指名に異論はないだろう。四藤慶一郎球団社長は清宮の会見が行われた直後、一部の関西系メディアの取材に応じ、「(指名の)競合は覚悟の上」とも語っていた。

 清宮の1位指名を決めたのは、阪神だけではない。指名後の抽選は必至だが、こんな声も聞かれた。
「抽選に外れた場合の『外れ1位』の選択はこれから。でも、それ以上に難しいのは国内FA市場です。中田翔が権利行使すれば、やはり阪神は交渉に臨むのではないか…」(球界関係者)
 日本ハムの中田翔(28)はFA権を行使するかどうか、まだ迷っている。共通のトレーニングジムに通っていた関係で、プライベートでは金本監督とは親しいという。
「金本監督は2年連続で、外国人野手に恵まれませんでした。高い年俸を払って二軍暮らしの助っ人なら、中田のほうがマシ」(在阪記者)
 過去2年のドラフト1位は金本監督に“譲ってきた”。直前で「欲しい!」と訴えた高山、大山に切り換えたわけだが、フロントもゴリ押ししたケースもあった。今季途中で獲得したロジャース、メンドーサはフロント主導で獲得した。金本監督は「若手の出場機会が失われる」と言って抵抗したそうだが、フロントは譲らなかった。

「阪神フロントはシーズン中に渡米するなど、外国人選手の獲得ルートを構築しようと必死です。FAは投手中心の補強とも聞いているし、こちらは金本監督に譲らないと思う」(前出・在阪記者)
 清宮の会見前日の21日、金本監督は5点差をひっくり返し、広島に一矢を報いている。金本監督は試合終盤に爆発した打線を勝因に挙げていたが、一部フロントは「投手陣の劣化がなければ苦しい展開にならなかった」と見ている。
 外国人選手の獲得ルートを構築するのは、フロントのメンツ。強力打線でチームを強化したいとする金本監督の意見も分からなくはない。現場とフロントの意見が合致しているのは、スター候補・清宮の1位指名だけのようだ。

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