−−初代タッグ王者に輝いたGENTARO選手と唯我選手です。おめでとうございます。
GENTARO(以下GEN) 間違えたな。
唯我 え?
GEN いや、間違いだろ、こんな事。ありえねぇ。
唯我 取ったんだからいいじゃないですか〜。
GEN うるさい黙れ。
唯我 師匠が…。
GEN お前が入ってる時点で、俺とお前が勝つなんて誰も思ってないんだよ。
唯我 それをひっくり返すのがプロレスじゃないですか。
GEN (石川)修司と(佐藤)光留を相手に。
−−強敵でしたからね。
GEN これはあの〜、アレだね。「プロレス界に対する大いなる裏切り」と言っていいかも知れないね。
唯我 いいんだよ〜。
GEN ま、このありえない勝敗はね。俺が一人ずつ相手にしても手に余るくらいの二人なんで。それをどう考えても足手まといがいるんだったら…。
唯我 なんだとぉ〜?
GEN どう考えてもこっちの負けでしょうに。
唯我 それは師匠の実力でしょう。
GEN じゃお前いなくても良かったじゃないか。
唯我 まあまあ、ある意味2対1でもよかったかなと。
GEN お前いなくてもいいんだから、お前がベルト持ってる資格ねぇじゃねぇかこの野郎。
唯我 いいじゃないですか〜。
GEN どんなベルトだろうがタイトルなんだから。ベルトっていうのは…。
唯我 せっかく「師弟タッグ」でベルト獲ったんですから…。
GEN うるせえ、誰が師弟だこの野郎。お前を「弟」だと思った事は一度も無い!
唯我 いいじゃないですか、愛弟子…。
GEN 「愛」でもなければ「弟子」でもないっつってんだろ!
唯我 今日ベルト獲ったんだから「愛」か「弟子」かどっちかにして下さいよ。
GEN どっちでもねえよ。
−−今日のフィニッシュのバックドロップ・ホールドって、GENTARO選手の試合の中では珍しいと思いますが…。
GEN いや、ここぞって場面じゃ結構使ってるよ。最近はホントにこう…「鉄人」ルー・テーズをバリバリに意識した上でのバックドロップが。やっぱストロングスタイルのね。最近知っての通り俺、黒いショートタイツ履いてるからさ。黒いショートタイツとは、ストロングスタイルの象徴! で最近俺、ストロングスタイルの研究としてね、もうアントニオ猪木さん、長州力さん、藤波辰彌さんを通り越して、もうYouTubeとかでルー・テーズの動画ばっかり見てるから。
−−最近裸足もたまにありますし。
GEN おお、あるねぇ。もうルー・テーズだけじゃなくって古の本当に強かった、ストロングな、プロレス黎明期の人達はみんなショートタイツなんだよ。で、自分でショートタイツ履いてみて、何でプロレスラーがショートタイツだったかってのがね、本当によくわかる。本当に。これが一番闘うのに自然なんだよ。その中で最近俺はとにかくバックドロップ。バックスープレックスに命を賭けてる。
−−ルー・テーズとも言われていますね。
GEN そうそう。業界内では「ルー・テーズ」とも言われている。で、ここぞって時に俺はバックドロップ・ホールドを使う。
−−では今日はここぞという時でしたか。
GEN かなり「ここぞって時」だったね。
唯我 「ベルトを獲るぞ」という…。
GEN パートナーがちょっと…アレだったから。リング上がってしまったら勝ちに行くしかなくなっちゃうからね。パートナーが誰であろうとね。うん。俺は3カウントを取ってから我に返った。「あ、パートナーこいつだったんだ…」
唯我 いいじゃないですか。
GEN しまった…不覚だ…。
唯我 弱いのと組んでベルト獲るのが凄いんじゃないですか。
GEN 何でこいつと組んでいながらこう、隠し技を出してしまったんだぁ! みたいな。
唯我 強い者同士が組んでベルト獲るのは当たり前じゃないですか。弱い者と組んで獲るから凄い。それがプロレスです。
GEN という事で、あの〜、せっかく獲ったベルトだ。
唯我 来年も…。
−−来年も必ず防衛して…。
GEN いや、すぐ返上させて頂きます。
唯我 おいっ!
−−何でですか〜。
唯我 やめてくれ〜、せっかく獲ったんだ〜。1年もたせろ〜。
−−…そう言えば今日、スリッパが出ませんでしたね?(以前GENTAROと唯我がリング上でやり取りをする際、GENTAROはスリッパで唯我の頭を思い切りひっぱたいていた経緯がある)
GEN スリッパ…あ、忘れてた。今度征木さん、渡してよ。
−−あ、そうですね。リングサイドでこっそり渡して…ぱこーんってやってもらうという…。
唯我 あ…あの…味方…。
GEN 味方だからやるんだよ。敵だったら100倍くらいやるよ。
−−愛のムチのような感じですから。
GEN 愛、無いから。憎しみのムチだから。当たり前じゃないっすか。
唯我 完全に凶器だ、これ、もう…。
…とまあ、信頼のなせるワザなのか、それともこれが両者の正しい関係なのか…?
新設王座の初代チャンピオンに輝いた両者。石川修司&佐藤光留という強敵を破っての戴冠には胸を張ってもらいたい。そしてまた、来年もこの輝くベルトを持って会場を沸かせて欲しいと感じたものである。
(9月11日 大山プロレスフェスティバル終了後に収録)聞き手:征木大智(Office S.A.D.)