記者と同世代の男性にとっては「心の恋人」なのだろうが、女性にはまったくもってお馴染みでない林由美香は、高校を中退し上京、生活に困って18歳でアダルト女優としてデビューする。瞬く間に人気者になり、出演作が量産されるも時代の波に流されてビデオ界が衰退、三十路近くなって、ワールドカップのせいか当時なぜか“日本人気”だった韓国の成人映画に参加することに。韓国の撮影スタッフの見守る中、韓国の俳優たちと絡んでいく。『あんにょん由美香』はそれを追った映画である。
映画中、儒教の国韓国で、アダルトビデオに関わった事をみんなが隠していたり、可愛くてモテるはずの林由美香が本気で愛した恋人が、妻帯者でハメ撮り監督という「不良債権」みたいなオトコだったりと「辛い事実」がつぎつぎ描かれる。しかし、いくら仕事でいろんな男優とセックスしようと、自分にウソをつかない一生を生きた由美香さんは、何ら自分たちと変わりない普通の女である事が分かり、なんの見返りも無くオトコを愛せるオンナは、多くのオトコからも愛される。そんな輝きも見せてくれた。男目線で描かれているが、女の方が理解しやすい映画かもしれない。
それにしても、クリオネのごとし、油断させておいて取材対象にガバッと食いついていく松江監督。そんなカワイイ顔をした彼が、なぜか自分も映画で○○○を披露。記者は息子の部屋でエロ本を見つけた母親のようなしぼんだ気分に。そこだけいらないシーンだろう。
<コダイユキエ>イケメン好きの40歳独身女性記者
写真:生前の美しい林由美香さん。スポッテド特集号より