前半80試合の成績は「48勝31敗1分・勝率.608」で、2位のDeNA・阪神とは9.5ゲーム差。後半戦最初のカード(対ヤクルト/15日〜17日)で3連勝という必須条件はあるものの、早ければ18日にも優勝マジックが点灯するほどの独走状態となっている。
ただ、チームは先月下旬に新外国人としてデラロサを迎え入れると、その後半月の間にトレードで日本ハムから鍵谷陽平、藤岡貴裕、楽天から古川侑利を獲得。2014年以来となるリーグ優勝は十分視界良好に見える中、補強を敢行し続けている。
冒頭の通り、首位をひた走るチームが、なぜその状態から節操なく補強を重ねているのか。その一要因として考えられるのが、合わせて6名(育成選手除く)の選手を獲得した昨オフの大型補強だ。
4年ぶりに復帰した原辰徳監督の下、チームは昨オフ30億円とも50億円ともいわれる大金を使い、丸佳浩、炭谷銀仁朗、中島宏之、岩隈久志、クック、ビヤヌエバの6名を獲得。しかし、この6名の内ここまで合格点・及第点といえる活躍を見せているのは3部門ともに好成績の丸(80試合・打率.312・16本・49打点)、正捕手争いを活性化させている炭谷(37試合・.258・3本・14打点)の2名のみ。
一方、その他の4名であるクック(10試合・0勝2敗6セーブ・防御率5.40)、岩隈(一軍登板なし)、ビヤヌエバ(58試合・.226・8本・23打点)、中島(38試合・.167・1本・5打点)に関しては、期待に応えているとは言い難い数字にとどまっている。
中でも、特に計算外だったといえるのが、2名しか獲得せず、その両名がどちらも期待外れだった投手補強。前述の新外国人・トレードで4名の投手を獲得したのも、この誤算への対策が大きなウェイトを占めているのだろう。
ちなみに、その他の4名がリーグ戦再開からの11試合で残した成績は、ビヤヌエバが「.267・1本・4打点」、中島が「打率.000・0本・1打点」、そして、クック、岩隈が登板無し。後半戦での復調も、あまり期待はできないと言わざるを得ないところだ。
大型補強でのミスを取り戻すかのような、積極的な動きが目立つ原巨人。好調な成績とは裏腹に、その内心にはまだまだ余裕がないのかもしれない。
文 / 柴田雅人