2010年に終了した漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』。その最後の覇者である笑い飯が今、お笑いファンを再び唸らせている。佳境にさしかかっている『THE MANZAI 2012』の本戦サーキット初日(10月6日、東京・ルミネtheよしもと)で、もっとも高いサーキットポイントを稼いで、トップとなったのだ。残された1戦でも上位に食い込めば、『THE MANZAI』でもファイナリストになる。
そもそも、笑い飯は『M-1』の常連だった。10回の開催回数で、じつに9回も決勝舞台を踏んでいるのだから、時代が変わっても褪せない笑いを提供しつづけたことになる。『M-1』のラストイヤーは、笑い飯にとって結成10年以内の有資格者としても最後の年だった。つまり、文字どおり、有終の美を飾ったわけだ。
西田は、最終学歴が奈良女子大学文学部付属高等学校。哲夫は、奈良県トップの進学校である奈良高等学校を卒業後、関西学院大学に入学(卒業)。教員免許も取得しており、塾の講師も経験している。その秀才ぶりはしっかり買われ、昨年は東京大学で講座を開催。今年は、NHKの哲学教養番組に出演。インテリ芸人としての評価も高まっている。
2人が生まれ育った奈良は、今でも大好き。住民票も、移さないでいる。その郷土愛の強さは今年、「奈良市観光特別大使」の就任につながったほどで、県も認める貢献ぶりだ。
そのせいか、M-1歴代王者で唯一、優勝後に住まいを東京に移すという流れを汲んでいない。本格的な東京進出は不安であり、関西の需要が依然として高いというのが、その理由だ。ゆえに、露出は少ない。だからこその希少価値だ、という見解もある。
笑い飯に寄せられる意見は、いつも大きく分かれる。しかし、年末、『THE MANZAI』で初舞台を踏めば、何かがまた動くだろう。(伊藤由華)