海外ニュースサイト『Oddity Central』は9月16日、刑務所に入りたくて窃盗を繰り返していた男が逮捕されたと報じた。
同記事によると今年の夏、フランス南西部オクシタニー地方で連続窃盗事件が発生したという。警察は、現場に残された唾液から採取したDNAを手掛かりに犯人を割り出し、25歳の元受刑者の男を逮捕、起訴したそうだ。
男は、DNA鑑定によって自分が犯人と特定されるよう、盗みに入った家々でわざとあちこちに唾を吐いていたことが、9月2日に行われた裁判で明らかになったという。犯行の動機について男は、「有料テレビチャンネルを無料で見られる刑務所に再び入りたかったから」と述べたという。男の弁護人は、「アダルト番組を見るために刑務所に入りたいという被告を弁護するのは初めてだ」と地元のメディア語り、驚きを隠せなかったそうだ。なお、裁判は継続中だという。
同国内の刑務所に勤務する職員が匿名で証言したところによると、受刑者は独房の中で、1カ月10ユーロ(約1,185円)の有料テレビチャンネルを無料で視聴できるという。受刑者が、刑務所内の共用エリアの清掃などの作業と引き換えに、有料テレビを無料で視聴できるほか、刑務所職員の人手不足から、有料テレビを視聴している受刑者に対する料金徴収の業務が行われず、結果的に無料で視聴している場合があるという。
このニュースが世界に広がると、ネットでは「わざとDNAを残す発想は、前科者ならではだ」「以前ニュースで見たけど、日本には食事を確保する目的で刑務所に入る高齢者がいるらしいよ」「タダでAVを観るために刑務所に入りたいなんてありえない」「男がどんなアダルト番組を見たかったのか気になる」「刑務所内の掃除で受刑者に褒美が出ることに驚いた」といった声が挙がっていた。
ネットの声にもあるように、海外で日本の刑務所の実態について取り上げられている。海外ニュースサイト『BBC News』は、刑務所に入る高齢者が日本で増加していると、 2019年1月31日に報じた。
同記事によると、日本国内で、犯罪総数に占める65歳以上の高齢者による犯罪数の割合が、1997年は20件に1件だったのに対し、20年後には5件に1件と大幅に増えているという。また、2016年に有罪となった65歳以上の高齢者約2500人中、3分の1が常習犯で、過去に5回以上の有罪判決を受けていたそうだ。
高齢者の犯罪の多くは万引きなどの窃盗だという。取材を受けた元受刑者の男性は、62歳の時、わざと自転車を盗み、その自転車を持って「自分が盗んだ」と警察に出頭。懲役1年の実刑判決を受けたそうだ。これが初犯だったが、貧困から、「刑務所の中ならただで生活できる」と思って盗みを働いたという男性は、その後も犯罪を繰り返し、刑務所を出たり入ったりしているという。
日本の刑務所に高齢者が増えている背景について、日本経済に詳しいオーストラリア出身の人口統計学者は、「日本で、年金暮らしの高齢者が公的年金だけで生活していくのは非常に困難だ。多くの高齢受刑者は貧困から、無料で1日3食食べられる刑務所に戻るために犯罪を繰り返している」と指摘。一方でこの学者は、日本では小さな盗みでも刑務所に送られると指摘。「200円のサンドイッチを盗んだら懲役2年で刑務所行きとなる可能性がある。量刑が罪に見合っているのか少し疑問だ」と語っているという。
塀の外より中の生活をあえて選ぶ人々がいるという現実は大いに考えさせられるものがある。
記事内の引用について
Ex-Con Wants to Go Back to Prison So He Can Watch Premium TV Channel for Free
https://www.odditycentral.com/news/ex-con-wants-to-go-back-to-prison-so-he-can-watch-premium-tv-channel-for-free.html
Why some Japanese pensioners want to go to jail
https://www.bbc.com/news/stories-47033704