男は18日午後0時55分頃、入所していたグループホームのダイニングキッチンで、52歳の女性職員を刃渡り約15センチの包丁で切りつけ軽傷を負わせ、さらに、居合わせた61歳男性の首や肩も複数回切りつけた。
命の危険を感じた被害者2人は、傷を負いながらも逃げたため命に別条はなかったが、一歩間違えれば殺されていた可能性もあった。男はまもなく通報され、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。
84歳の男が凶行に及んだ理由は何だったのか。警察の取り調べに対し、動機について、「施設の出す食事の量が少ないのでやった」と話しているという。分別あると思われる大人が、「食事の量が少ない」という子供のような理由で怒ったとは驚きだ。
男は包丁で人を傷つけたことは認めているものの、「怪我はさせたが殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。警察では男が施設に不満を募らせており、それが爆発してしまったのではないかと見て捜査を進めている。
この異常なニュースに、「闇を感じた」「怖い」「介護職員がかわいそう」など、驚きの声が上がる。一方で、介護の現場を知る人からは、「認知症と嘘をつけば無罪になる可能性もある。今後の施設運営を考えると入所者を訴えることはできない。介護経営者は職員を守ってくれない」「自分の先輩職員も刺されたことがあると言っていた。逮捕できるようになったことはいいこと」「結局、損をするのは被害に遭った職員。包丁をどうして持たせのかなど追及されているかも」「騒ぎを起こしたとして辞めさせられるかも」など、介護の過酷な事情を明かす声が並んだ。
高齢化社会が進む中で介護の重要性は高まっているが、その現場で働く人々の待遇は悪いと言わざるを得ない。このような事件を発生させてはならないが、職員だけを責めるようなこともあってはならない。
問題を起こした入所者へ毅然とした対応を認めるとともに、このような事件を起こさないよう、施設運営会社が対策を立てていくべきだろう。