海外ニュースサイト『Daily Mail』は2019年9月12日、パワーウインドーの窓ガラスに首を挟まれて女性が死亡したと報じた。
同記事によると8月31日の午後、その日が21歳の誕生日だったというベラルーシ・ブレスト州に住む妻は、自身の誕生日を祝ってもらおうと、夫や娘とともに自家用車で友人宅を訪れたという。
夫婦は車から降り、夫は車から離れたそうだ。妻は、半開きの前部座席の窓の外から車内に手を伸ばし、中にいた2歳の娘を抱え上げ窓から出して降ろそうとしたという。その時、娘が誤ってパワーウインドーの自動開閉スイッチを押してしまい、妻は閉まる窓ガラスに首を挟まれたそうだ。
夫は車に戻ると、車の窓に首を挟まれた状態の妻を発見した。車の窓ガラスを壊して救出したが、妻はぐったりして意識がなかったという。夫が呼んだ救急車で病院に搬送された時、妻は意識不明の重体だったそうだ。
この事故の調査担当者によると、妻は、車の窓に首を挟まれ窒息したことで脳に損傷を負い、事故から8日後、意識が回復しないまま死亡したという。夫婦の自家用車はBMWのE34だったそうだ。
このニュースが世界に広がると、ネットでは「誕生日にこんな悲劇に見舞われた妻がかわいそう」「大きくなって母親の死の真相を知ったら、女児は一生トラウマから抜け出せないんじゃないかと心配だわ」「大人を挟み込んで窒息させるパワーウインドーの威力に驚いた」「何が起こったのか理解できない女児は、車の中に頭を入れたまま何の反応もしない母親に声をかけ続けたに違いない。父親に発見されるまでの間、女児はどんなに心細かったことだろうか」「私も車の窓から子供を降ろすことがあるのでとても他人事とは思えない」「たぶんこの車にはパワーウインドーの挟み込みを防止する安全装置が付いていなかったんだろうな。古い車を含め全ての車に挟み込み防止機能の装備を義務付けるべきだ」などといった声が挙がっていた。
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)によると、日本でもパワーウインドーの誤操作などにより、閉まる窓ガラスに子どもが手や首を挟まれてけがをする事故が起きているという。
こうした事故を受けてJAFは、2017年2月にパワーウインドーの挟み込みの危険性について検証実験を行い、その結果を同年3月、公式サイトに公開している。
同サイトによると、パワーウインドーで閉まる窓を、人の力で止められるか実験した結果、50代男性は両手でも片手でも止めることができたが、30代女性は片手では止めることができず、8歳児は両手を使っても止めることができなかった、とある。
また、窓が上昇している途中に異物の挟み込みを感知すると、窓の上昇が止まり下降する安全装置(挟み込み防止機能)が装備された車でも、窓を閉め切る直前のタイミングに挟み込まれるなど感知しない領域があり、実験に使った割り箸が挟まれたという。乳指先が細い幼児などは特に注意が必要だ。
さらに同サイトでは、パワーウインドーによる事故を防ぐための安全対策として、運転席から操作して他の席の窓を閉める際は必ず声がけをすることや、チャイルドシートを正しく使い、子どもの手や首が窓に届かないようにすること、また、パワーウインドーのロック装置を活用することなどを挙げている。
機械の操作ミスはいつでも誰にでも起こり得る。事故が起こる前に、積極的に安全対策を取り入れたいものだ。
記事内の引用について
Mother is accidentally killed by her two-year-old daughter after she closed BMW window by pressing button while being lifted out of car in Belarus
https://www.dailymail.co.uk/news/article-7455379/Child-accidentally-kills-mum-pressing-switch-jamming-neck-closing-window-family-BMW.html?ito=email_share_article-top
一般社団法人 日本自動車連盟「パワーウインドーの挟み込み」(JAFユーザーテスト・交通安全とエコ)
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/usertest/powerwindow/detail1.htm
一般社団法人 日本自動車連盟「パワーウインドーの事故を防ぐには?」(トラブル・JAFクルマ何でも質問箱)
http://qa.jaf.or.jp/trouble/prevent/22.htm