search
とじる
トップ > スポーツ > 掛布二軍監督が最後の苦言「一人に強くなれ!」

掛布二軍監督が最後の苦言「一人に強くなれ!」

 138試合目で、ようやくAクラスが確定。ミスタータイガース、掛布雅之二軍監督(62)のセレモニーが行われた9月28日、一軍は難敵・DeNAベイスターズに快勝した。敗れたDeNAは4位・巨人とクライマックスシリーズ進出を掛けた激しいデッドヒートが続くが、金本知憲監督(49)は控え選手の“テスト起用”も可能となった。
 同日の試合は意義深いと言う。
「能見(篤史=38)が完投してくれたのは大きい。先日は先発の秋山(拓巳=26)を含め、7人も投手を投入しています。リリーフ陣は登板過多だったので」(プロ野球解説者)
 プロ13年目の技巧派左腕を僅か93球での完投に導いたのは、04年のドラフト同期・岡崎太一捕手(34)だった。DeNA打線を「被安打4、失点2」に抑えたのは、さすがだ。

「いつもの能見らしくないピッチング内容でした。試合序盤はフォークボールを多投し、中盤以降は『フォークボール』を相手打者に意識させておいて、別の変化球をウィニングショットに使っていました。早いカウントでの打ち損じも誘っていました」(前出・同)
 熟練した岡崎のリードはCSでも使えそうだ。
 岡崎は昨季の開幕戦でスタメンマスクの大役も果たしている。就任1年目の金本監督にとって記念すべく初陣だ。“30歳を過ぎたオッサン”が選ばれたのは意外だった。前年までの通算一軍出場試合数は41、打撃面に関しては、与えられた打席数はたったの34。金本監督がチームに合流した15年秋季キャンプ時点で「岡崎が頑張っている」の声は聞かれたが、「まさか!?」と思ったファンも少なくなかったはずだ。
「もともと、守備能力の高い捕手だった」

 長く阪神担当を務めた在阪記者が言う。しかし、それだけではなかった。
「岡崎が欲しいと何度か、阪神にトレードを申し込んだことがありました。ウチだけじゃないと思いますよ」(パ・リーグ球団職員)
 長い二軍生活でも、岡崎は折れなかった。ベテランともなれば、二軍戦でも与えられる出場機会は激減する。出番のないとき、自主的にブルペンに行き、味方投手の練習相手を務めていた。打撃練習でちらかったままのボールも拾い集めた。そして、居残り練習の常連でもあったそうだ。「トレード要員」と言うと、悲観的に聞こえるが、彼の寡黙な姿を他球団は見ていたのである。
 また、28日のスタメンマスクだが、球場入りしてから知らされたという。いくらベテランでも普通なら、慌てるところだ。数少ないチャンスを生かすには常に「準備」をしておくしかない。その準備も無駄になることのほうが多かったわけだが、「全く動じるところがなかった」(関係者)というのだから、本当にハートの強い選手なのだろう。

 2年目でCS進出権を確保したが、今の阪神には課題が多すぎる。昨季ブレークした北條、原口、高山などの若手は計算に入っていたものの、壁にぶつかってしまった。ユニフォームを脱ぐ掛布二軍監督は、最後の囲み会見でこう語っていた。
「今の子たちは、たむろするんですよね、群れをなすんですよ。一人に強くなれって」
 前出の関係者によれば、岡崎は鳥谷、福留、糸井といった他のベテランたちと少し異なるという。福留は若手に直接活を入れるときもある。ユーモアな言動の多い糸井は“いじられキャラ”だ。鳥谷は練習熱心で、背中で若手を引っ張っていくタイプ。岡崎は鳥谷に近いかもしれないが、隠れて練習するシーンもあるそうだ。

 若い選手が活躍すると、ハツラツとした気持ちになれる。しかし、「群れない」岡崎のようなベテランが結果を出すと、励まされるファンも多いはずだ。長くチームに貢献した安藤、狩野がいち早く引退を表明した。能見−岡崎の年長バッテリーは「やってやろう」の思いもあったのでは…。
 同日、5打席に立った岡崎は4三振1本塁打。自身通算2本目のアーチだ。試合後、岡崎は矢野バッテリーコーチとDeNA打線の状況を話し合い、一人で素振りを始めたそうだ。

関連記事

関連画像

もっと見る


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ