芸能人の私生活を脅かすファンのことを、韓国では「私生ファン」と呼んでいる。日本で言うところの「ヤラカシ」である。今回事務所が公表し“ブラックリスト”入りしたファンが行ったのはメンバーの盗撮、チケットの転売、プライベートの侵害、メンバーと同じ航空券を購入し、キャンセルするなどの行為だ。
ネットでは、「“私生ファン”はファンではない、ただのストーカーと犯罪者だよ」「好きな人のこと苦しめて何が楽しい?」「プライベートまで追っかけるのやめなよ」「近づけば近づくほどアイドルに嫌われることを早く理解しろ」などと批判する声が相次いでいる。
2018年12月9日にはBTSの台湾公演終了後、過激なファンによる追っかけ行為が原因で、メンバーを乗せた車両が接触事故に見舞われたと現地メディアが報じた。また、韓国歌手のジェジュンも、今年1月6日放送の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で、「自宅に侵入した過激ファンが寝顔をのぞき込んでいた」という恐ろしいエピソードを披露している。このように、韓流アイドルには過激なファンがいるようだ。
日本のアイドル界では、ルール違反のファンによる“出禁リスト”があるという噂はあるものの、実名など個人情報を公表するケースは少ないという。
2012年、篠崎愛が所属するアイドルグループAeLL.の所属事務所が、イベント料金未払いのファンの実名をオフィシャルブログで公開。異例の事態にネットで大騒動となり、のちに実名公開を謝罪するに至った。
2014年5月のAKB48握手会で、のこぎりを持った男がメンバーを襲った事件や、NGT48・山口真帆が男性ファン2人に自宅に押しかけられ、暴行を受けた事件でさえも、犯人の実名は公表されていない。
「韓国では、2007年に女性芸能人が悪質なネットコメントにより自殺した事件をきっかけに、『ネット実名制』を導入しました。芸能人本人が“私生ファン”の個人情報公表するケースも少なくありません。2018年2月、アイドルグループEXOのベクヒョンがインスタライブで、自身にかかってきたファンの携帯番号を公表し、物議を醸しました」(芸能記者)
日本の場合、写真や名前などの個人情報をネットに晒す行為は個人情報保護法に抵触する可能性があり、芸能事務所は配慮せざるを得ない。ネットでの一般人による“犯人捜し”行為も危険だ。正義感からの行動であっても、他人の名誉を毀損してしまえば、自分自身が罪に問われてしまうことになりかねない。